UDP通信は、「設定は合っているのに通らない」「ログも出ない」 というトラブルが非常に多い通信方式です。
TCPのようなコネクション管理がないため、 FW・MTU・QoS・経路設計のわずかな不整合が即座に通信断につながります。
本記事では、
UDP通信が通らない代表的な原因 を 確認順=実務での切り分け順 で解説します。
目次
UDP通信の特徴(トラブルが起きやすい理由)
- コネクションレス(セッション確立なし)
- 再送制御なし
- FWログに残らないケースが多い
そのため、「FWで許可している=通る」ではない 点が重要です。
原因①:ファイアウォールでUDPが正しく処理されていない
よくある症状
- TCPは通るがUDPだけ失敗
- FWログにdenyが出ない
確認ポイント
- UDPポート番号が正しく許可されているか
- ステートフルFWでUDPセッションが即破棄されていないか
- 戻り通信が同じFWを通っているか
確認コマンド例(Cisco系)
show conn protocol udp
show access-list
結果の見方
- UDPセッションが見えない → FWで破棄されている可能性
- 短時間で消える → タイムアウト不足
原因②:UDPタイムアウトが短すぎる
なぜ起きる?
UDPは通信状態を保持しないため、 FWは「一定時間通信がなければ破棄」します。
典型例
- VoIP
- DNS
- Syslog / SNMP Trap
対処
- UDPセッションタイムアウトを延長
- アプリ要件に合わせた調整
原因③:MTUサイズ不一致によるUDP破棄
UDP特有の問題
- フラグメントがFWで破棄されやすい
- DFビットがないためブラックホール化
確認ポイント
- VPN / トンネル区間のMTU
- FWでのフラグメント許可設定
確認コマンド例
ping 送信先 -s 1472 -M do
UDP通信で断続的に失敗する場合はMTUを疑います。
原因④:QoS設定によるUDPドロップ
ありがちな誤設定
- UDP=低優先度扱い
- 帯域制限に引っかかる
影響を受けやすい通信
- 音声(RTP)
- 映像ストリーミング
- リアルタイム制御系
確認ポイント
- QoSポリシーでUDPがどのクラスか
- ドロップカウンタが増えていないか
確認コマンド例
show policy-map interface
原因⑤:非対称ルーティング
UDPは特に壊れやすい
戻り通信が別経路になると、 FWは「不正な通信」として破棄します。
確認ポイント
- 行きと戻りが同一FWを通過しているか
- ECMP・冗長構成の影響
実務向け切り分け手順(順番が重要)
- FWポリシーでUDP許可を確認
- FWセッションテーブル確認
- UDPタイムアウト確認
- MTU・フラグメント確認
- QoSドロップ確認
- 非対称ルーティング確認
まとめ
- UDPは「通らない理由が見えにくい」
- FW・MTU・QoSが同時に影響する
- ログだけで判断しない
UDP通信トラブルは、
通信を「状態」ではなく「流れ」で見る ことが解決の近道です。
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