無線LANトラブルの多くは「設定」ではなく、 AP台数設計の失敗が原因です。
特に Wi-Fi 6 / 6E 環境では、 APを増やせば速くなるという考えが致命的になります。
本記事では、実務で頻発する AP台数設計ミスによって起きるトラブルを、 症状・原因・対処の形で整理します。
目次
結論:AP台数は「カバー範囲」ではなく「収容台数」で決める
- 電波が届く ≠ 安定通信
- 速度低下の多くは混雑が原因
- Wi-Fi 6 は特に密度設計が重要
トラブル① AP台数が少なすぎる
主な症状
- 特定時間帯だけ遅くなる
- 会議室でWeb会議が不安定
- Pingは通るが通信が途切れる
原因
1台のAPに接続端末が集中し、 OFDMAでも処理しきれなくなっています。
現場での確認方法
- APごとの接続クライアント数
- AP CPU / Airtime 利用率
対処
- AP台数を増やす
- 会議室・執務エリア分離
トラブル② AP台数を増やしすぎた
主な症状
- 速度が不安定
- 端末が頻繁にAPを切り替える
- 再接続が多発
原因
AP同士の電波干渉が発生し、 CSMA/CAの待ち時間が増大しています。
現場での確認方法
- 同一チャネルAPの数
- RSSIが強すぎないか
対処
- 送信出力を下げる
- チャネル再設計
- 不要なAPを停止
トラブル③ 「とりあえず等間隔配置」
主な症状
- 場所によって極端に品質が違う
- 会議室だけ遅い
原因
利用人数・利用形態を無視した 物理配置ベースの設計です。
対処
- 人数密集エリアを基準に設計
- 会議室は専用AP
トラブル④ カバー範囲だけで台数を決定
主な症状
- 電波強度は問題ない
- スループットが出ない
原因
電波設計=通信設計ではないためです。
対処
- 端末数 × トラフィック量で設計
- APの最大同時通信能力を考慮
トラブル⑤ 2.4GHz前提の台数設計
主な症状
- 全体的に遅い
- 干渉が激しい
原因
2.4GHzはチャネルが極端に少ないため、 台数を増やすほど悪化します。
対処
- 5GHz / 6GHz 主体に切替
- 2.4GHzは最小限
トラブル⑥ AP台数と有線NWが不整合
主な症状
- 無線だけ遅い
- AP uplink が常時高負荷
原因
AP台数増加に有線側が追従していない状態です。
対処
- 2.5G / 5G uplink
- スイッチ増強
正しいAP台数設計の考え方(実務)
- 最大同時接続端末数を算出
- アプリ種別(Web会議等)を考慮
- AP1台あたりの適正収容台数で割る
「人の数」ではなく「同時通信数」が基準です。
設計時チェックリスト
- 最大同時利用人数
- 会議室・集中エリア有無
- 5GHz / 6GHz利用前提
- 有線NW帯域
まとめ
AP台数設計は増やしても減らしても失敗します。
重要なのは、
- 端末数
- 利用形態
- 全体設計
無線LANは「台数設計」で8割決まる —— これが実務の結論です。
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