「Web会議だけが途切れる」「有線だと問題ない」 この症状は無線LAN設計の歪みが表面化しているサインです。
本記事では、Zoom / Teams / Webex などの Web会議が無線LANで不安定になる原因を ネットワーク技術の観点から徹底解説します。
目次
結論:Web会議は「無線LANに最も厳しい通信」
- リアルタイム通信
- UDP主体
- 双方向・継続通信
そのため、Web閲覧では問題が出ない無線LANでも Web会議だけが壊れることが頻発します。
原因① APに端末が集中している
症状
- 参加人数が増えると音声が途切れる
- 映像がカクつく
技術的な理由
APは同時通信数に上限があります。 Web会議は常時送受信を行うため、 Airtime が枯渇しやすくなります。
確認ポイント
- APごとの接続クライアント数
- Airtime Utilization
対処
- AP増設(密度設計)
- 会議室専用AP配置
原因② AP台数を増やしすぎている
症状
- 突然切断される
- 数秒ごとに音声が途切れる
技術的な理由
AP過密によりチャネル干渉が発生し、 CSMA/CAの待ち時間が増大します。
確認ポイント
- 同一チャネルAP数
- RSSIが強すぎないか
対処
- 送信出力を下げる
- チャネル再設計
原因③ 2.4GHzに接続されている
症状
- 常に品質が不安定
- ピーク時間に顕著
技術的な理由
2.4GHzはチャネルが少なく、 電子レンジなど外来ノイズの影響を受けやすいです。
対処
- 5GHz / 6GHz 優先
- 2.4GHzは無効化または制限
原因④ ローミングが頻発している
症状
- 移動中に切断される
- 突然ミュート状態になる
技術的な理由
AP切替時に一時的な通信断が発生します。 Web会議はこれに非常に弱いです。
確認ポイント
- AP間RSSI差
- ローミングログ
対処
- AP配置最適化
- 802.11k/v/r 有効化
原因⑤ 無線LAN側でQoSが効いていない
症状
- 大容量DL時に会議が壊れる
技術的な理由
Web会議は低遅延が最優先です。 QoS未設計だと他通信に潰されます。
対処
- WMM有効化
- 音声・映像トラフィック優先
原因⑥ UDP通信がFWで制限されている
症状
- 特定拠点だけ不安定
技術的な理由
Web会議はUDPが主流です。 FWやNATのセッション管理が不適切だと切断されます。
確認ポイント
- FWログ
- UDPセッションタイムアウト
対処
- UDPタイムアウト延長
- 必要ポート許可
原因⑦ 有線側(AP uplink)がボトルネック
症状
- 無線全体が遅い
技術的な理由
Wi-Fi 6 AP は1Gbpsを超える通信を発生させます。
対処
- 2.5G / 5G uplink
- スイッチ増強
現場での即チェックリスト
- 接続APと周波数帯
- AP接続台数
- Airtime利用率
- ローミング有無
- FW UDP制御
まとめ
Web会議が無線LANで途切れる原因は、
- 電波
- AP台数
- 帯域
- QoS
- FW
複合要因であることがほとんどです。
「Webは見えるから無線は問題ない」 この思い込みが、最も危険です。
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