Webが「遅い」と言われたとき、 TTFB(Time To First Byte) と スループット を混同してしまうと、 原因を誤診し、的外れな対策を打ってしまいます。
本記事では、
- TTFBとは何か
- スループットとは何か
- なぜ両者は全く別物なのか
- 実務ではどう切り分けるべきか
を図解イメージと具体例を交えて徹底解説します。
目次
まず結論:TTFBとスループットは「遅さの種類」が違う
| 指標 | 意味 | 影響する体感 |
|---|---|---|
| TTFB | 最初の1バイトが返るまでの時間 | 「表示が始まらない」 |
| スループット | 一定時間あたりの転送量 | 「表示完了までが遅い」 |
TTFBは「待ち時間」、 スループットは「流れる速さ」です。
TTFB(Time To First Byte)を深く理解する
TTFBの定義
TTFBとは、 クライアントがリクエストを送信してから、最初のレスポンスデータを受信するまでの時間です。
Browser
↓ HTTP Request
[ DNS解決 / Network / Server処理 ]
↓ HTTP Response (First Byte)
Browser
TTFBが遅くなる主な要因
- DNS名前解決に時間がかかる
- ネットワーク遅延・パケットロス
- サーバ側の初期処理が重い
TTFBが遅い時の体感
- 画面が真っ白な時間が長い
- 「固まっている」ように見える
この状態で帯域を増やしても、 ほとんど改善しないのがTTFB問題の特徴です。
スループットを深く理解する
スループットの定義
スループットとは、 単位時間あたりに実際に転送できるデータ量を指します。
例:
- 100Mbps回線
- 実効スループット:20Mbps
スループットが低下する主な要因
- 回線帯域不足
- TCPウィンドウサイズ不適切
- パケットロスによる再送
スループットが遅い時の体感
- 表示は始まるが完了まで長い
- 動画や画像の読み込みが遅い
この場合、 帯域増強やTCP調整が効果的です。
実務でありがちな誤解
誤解①「回線が遅いから帯域を増やそう」
TTFBが原因の場合、 帯域を増やしても意味がありません。
誤解②「表示が遅い=サーバが悪い」
実際には、
- DNSが遅い
- FWでセッション待ち
- 非対称ルーティング
が原因のことも多いです。
TTFBとスループットの切り分け方法(実務手順)
① Chrome DevToolsで確認
- Waiting → TTFB
- Content Download → スループット影響
② 判断基準
| 状態 | 問題箇所 |
|---|---|
| Waitingが長い | TTFB |
| Content Downloadが長い | スループット |
改善アプローチの違い
TTFB改善策
- DNSキャッシュ導入
- サーバ初期処理最適化
- FW・LB処理見直し
スループット改善策
- WAN帯域増強
- TCPウィンドウ調整
- QoS設定
実務向けまとめ
- TTFB=「最初の待ち時間」
- スループット=「流れる速さ」
- 対策は完全に異なる
- DevToolsで数値を見て判断する
この違いを理解しているかどうかで、 トラブル対応の精度が大きく変わります。
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