企業ネットワークのセキュリティ強化ポイント10選

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企業ネットワークのセキュリティは「機器を入れたから安全」ではありません。
設計・設定・運用のすべてが噛み合って初めて、実効性のある防御になります。

本記事では、現場で頻発する設定漏れ・設計ミスを中心に、 即チェックできる実務向けセキュリティ強化ポイント10選を解説します。

目次

① ネットワーク分離(VLAN・セグメント分割)は適切か

チェックポイント

  • 業務系・管理系・来訪者ネットワークが分離されているか
  • 不要なVLAN間通信が許可されていないか

よくあるNG例

  • 「同一フロアだから」という理由で全端末が同一VLAN
  • L3スイッチで全VLAN間通信が全許可

実務対応例

VLAN分割+L3 ACL または FW を用いて、通信を必要最小限に制御します。

② ファイアウォールのポリシーは最小権限になっているか

チェックポイント

  • any-any 許可ルールが残っていないか
  • 不要になった一時ルールが放置されていないか

実務対応例

  • 通信元・通信先・ポート・プロトコルをすべて明示
  • 定期的なポリシー棚卸し(半年〜1年)

③ 管理プレーン(機器管理アクセス)は保護されているか

チェックポイント

  • SSH / HTTPS のみ許可されているか
  • 管理アクセス元IPが制限されているか

推奨設定例


ip access-list standard MGMT-ACL
 permit 192.168.100.0 0.0.0.255
 deny any

管理アクセスは業務通信とは必ず分離します。

④ デフォルト設定・初期アカウントが残っていないか

チェックポイント

  • 初期ユーザー名・パスワード未変更
  • 不要なサービス(telnet、http)が有効

実務結果

脆弱性診断で最初に指摘されやすい項目です。 設定変更だけで大きなリスク低減が可能です。

⑤ ログ(Syslog)は取得・保管・監視されているか

チェックポイント

  • FW・L3・VPN装置のログが集中管理されているか
  • 障害・攻撃検知時にすぐ確認できるか

実務ポイント

ログは「取っている」だけでなく、見られる状態であることが重要です。

⑥ SNMP設定は安全に運用されているか

チェックポイント

  • SNMPv2c の community が推測容易でないか
  • 可能であれば SNMPv3 を使用しているか

注意点

監視目的のSNMPが、情報漏洩の入口になるケースは非常に多いです。

⑦ L2セキュリティ(DHCP Snooping / DAI)は有効か

チェックポイント

  • 不正DHCPサーバ対策が有効か
  • ARPスプーフィング対策がされているか

実務効果

内部攻撃・誤接続による被害をL2で未然に防止できます。

⑧ VPN・リモートアクセスは適切に制御されているか

チェックポイント

  • 多要素認証(MFA)が有効か
  • 接続後のアクセス範囲が制限されているか

VPN接続=社内フルアクセス、は危険な設計です。

⑨ 無線LANのセキュリティは最新か

チェックポイント

  • WPA2/WPA3 を使用しているか
  • SSIDの用途分離(社内・来訪者)ができているか

実務ポイント

有線より侵入口になりやすいため、特に注意が必要です。

⑩ 定期的なレビュー・演習が行われているか

チェックポイント

  • 構成変更時にセキュリティ影響を確認しているか
  • 障害・インシデント対応手順が共有されているか

結論

セキュリティは運用で劣化するため、 定期レビューと訓練が不可欠です。

まとめ

  • セキュリティ強化は「高価な製品」より「基本の徹底」
  • 設計・設定・運用のバランスが重要
  • チェックリスト化し、定期的に見直す

本記事の10項目を確認するだけでも、 多くの企業ネットワークでセキュリティレベルを一段引き上げることができます。

目次