VLAN設定ミスはネットワークトラブルの中でも特に頻度が高く、原因の特定に時間がかかりやすい分野です。本記事では、実務で起きる典型的なパターンと再現例、確認手順、即時の復旧方法、再発防止策をまとめます。
目次
■ よくあるVLAN設定ミスの原因一覧
- ① ポートのVLAN設定間違い(access / trunk / native)
- ② トランクに対象VLANが許可されていない
- ③ ネイティブVLANの不一致
- ④ VLAN自体がスイッチに作成されていない
- ⑤ タグ/アンタグの扱いの誤り(サーバー側での設定ミス)
- ⑥ ハイブリッド/general モードの設定漏れ(L2スイッチ依存)
■ 典型的なトラブル再現例
● 再現例1:Access ポートの VLAN 設定間違い
【誤り】
interface Gi1/0/10
switchport access vlan 20
【正】
interface Gi1/0/10
switchport access vlan 10
→ PCが本来のネットワークに参加できず通信断。
● 再現例2:Trunk に VLAN が許可されていない
【誤り】
switchport trunk allowed vlan 1,20
【正】
switchport trunk allowed vlan 1,10,20
→ 下位スイッチでは VLAN10 が孤立し、通信不可に。
● 再現例3:ネイティブ VLAN 不一致
SW1: switchport trunk native vlan 10
SW2: switchport trunk native vlan 1
→ VLANタグが変換され予期せぬブロードキャストが発生。通信不安定に。
■ VLANトラブルの初動確認チェックリスト
実務で使えるよう、ショートコマンド中心でまとめます。
1. ポートの VLAN 設定を確認
show interface switchport
● 例:
Name: Gi1/0/10
Administrative Mode: static access
Access Mode VLAN: 20 (VLAN20)
→ 本来VLAN10なのに 20 になっているのが発見ポイント。
2. VLAN が作成されているか確認
show vlan brief
● 例:
VLAN Name Status Ports
10 Office_Network active
20 Server_Network active
→ 該当VLANが一覧に無ければ設定漏れ。
3. トランクに VLAN が通っているか確認
show interface trunk
● 例:
Port Vlans allowed on trunk
Gi1/0/1 1,20
Port Vlans allowed and active in management domain
Gi1/0/1 1,20
→ VLAN10 が “allowed” に含まれていないため下位に届かない。
4. ネイティブVLANの一致確認
show interface trunk
● 例:
Port Native vlan
Gi1/0/1 1
Gi1/0/2 10 ← 不一致
■ すぐ直すための解決策(ケース別)
● ケース1:Access VLAN の設定が誤り
interface Gi1/0/10
switchport access vlan 10
● ケース2:Trunk に VLAN が許可されていない
interface Gi1/0/1
switchport trunk allowed vlan add 10
● ケース3:ネイティブ VLAN の不一致を解消
interface Gi1/0/1
switchport trunk native vlan 10
または、全スイッチで統一する設定方針を採用。
● ケース4:VLAN自体が作られていない
vlan 10
name Office_Network
● ケース5:サーバ側の VLAN タグ設定ミス
Linuxの場合:
cat /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ens192.10
→ VLAN ID が間違っていないか確認。
■ 再発防止策(実務で最も重要)
- VLAN標準命名ルールを決める(例:VLAN10 = Office)
- スイッチ構成管理ツール(NetBoxなど)で一元管理
- トランク設定のテンプレート化
- 変更時にコミット前比較(diff)を実施
- ネットワーク図に VLAN ID を必ず記載
- 異常時に自動で通知(STP, MAC flap, VLAN error)を設定
■ まとめ
VLAN設定ミスは、設定漏れ・VLAN未作成・タグの扱いなど、単純な原因で起きるケースが大半です。しかし、ネットワーク全体に影響し、原因特定に時間がかかりがちです。
本記事のチェックリストとショーコマンド例を覚えておけば、現場での初動対応が大幅に早くなります。
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