「監視はグリーン表示」
「Pingも通る」
「CPUも問題なし」
それでもユーザーから「遅い」「繋がらない」と報告される。
これは監視が“装置目線”だから起きる現象です。
本記事では、現場で即使える切り分け手順とコマンドをそのまま貼り付け可能な形式で解説します。
目次
■ 結論:死活監視ではユーザー影響は検知できない
監視でよく見ている項目:
- ICMP応答(Ping)
- CPU使用率
- メモリ使用率
- インターフェース使用率
しかし、ユーザー体験に影響するのは:
- TCP再送率
- DNS応答時間
- セッション確立時間
- SSLハンドシェイク時間
- アプリ内部遅延
ここが監視対象外だと、「正常なのに遅い」が発生します。
■ ケース別:実践切り分けコマンド
① Pingは通るが遅い
確認①:TCP再送の有無
netstat -s | find "retransmitted"
Linuxの場合:
netstat -s | grep retrans
再送が増えている場合、パケットロスやFWドロップを疑います。
確認②:パケットキャプチャ
tcpdump -i eth0 host 8.8.8.8
Retransmissionが大量に出ていないか確認。
② CPUは正常だがアプリが遅い
I/O待ち確認
top
wa%(I/O wait)が高ければストレージボトルネック。
詳細確認
iostat -x 1
awaitが高い場合はディスク遅延。
③ 回線使用率は低いが遅い
FWセッション数確認(例:Cisco系)
show conn count
Linuxサーバ確認
ss -s
セッション上限近くなら新規接続が遅延します。
④ DNSが原因の場合
応答時間確認
nslookup example.com
または
dig example.com
Query time が 1000ms 以上ならDNS遅延。
⑤ MTU不一致
Windows確認
ping -f -l 1472 8.8.8.8
Linux確認
ping -M do -s 1472 8.8.8.8
断片化エラーが出る場合、MTU調整が必要。
⑥ 外部経路問題
tracert 8.8.8.8
Linux:
traceroute 8.8.8.8
途中ホップで急激に遅延が増えていないか確認。
■ 監視設計の盲点
| 監視内容 | ユーザー影響検知 |
|---|---|
| Ping監視 | × |
| CPU監視 | △ |
| 帯域監視 | △ |
| HTTP監視 | 〇 |
| APM監視 | ◎ |
■ 再発防止策(設計改善)
- HTTP/HTTPS応答監視追加
- DNS応答時間監視
- TCP再送率監視
- FWセッション数アラート
- 監視間隔を1分以下へ短縮
■ 実務で使える最短切り分け手順
- PingではなくHTTP応答確認
- DNS応答時間確認
- TCP再送確認
- FWセッション数確認
- tracerouteで外部経路確認
この順でほぼ特定可能です。
■ まとめ
監視が正常でも、ユーザー体験が正常とは限りません。
装置目線の監視から、ユーザー目線の監視へ。
これが現代のネットワーク運用に必要な視点です。
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