サブネット変更時に見落としがちなL3設計の罠|実務チェック完全版

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「/24を/23に広げただけ」
「アドレス帯を整理しただけ」
それなのに通信障害が発生する。

サブネット変更は単なるIPレンジ変更ではありません。
L3設計そのものに影響を与える変更作業です。

本記事では、現場で実際に多発する “L3設計の見落としポイント”を具体的な確認コマンドと共に解説します。

目次

1. 要約ルート(サマリールート)の罠

典型例

旧:192.168.10.0/24
新:192.168.10.0/23

上位ルータで /24 前提の要約が設定されている場合、 新レンジの一部がブラックホール化します。

確認コマンド(Cisco)

show ip route
show ip route summary
show run | include summary

対策

  • 経路広告範囲の再確認
  • Null0ルート有無確認
  • 再配布ポリシー確認

2. 非対称ルーティング発生

症状

  • 片方向通信のみ成功
  • FWでセッション破棄

原因

  • 戻り経路未更新
  • ECMP経路変更
  • PBR未修正

確認

traceroute 宛先IP
show ip route 宛先IP

往路・復路両方必ず確認。

3. FHRP(HSRP/VRRP)設定漏れ

典型例

  • 仮想IP未変更
  • スタンバイルータ側未修正
  • グループ番号不一致

確認コマンド

show standby brief
show vrrp brief

よくある罠

アクティブ側だけ修正し、スタンバイ側が旧設定のまま。 フェイルオーバー時に通信断。

4. ACLのマスク不整合

access-list 100 permit ip 192.168.10.0 0.0.0.255 any

/23へ変更後、半分がブロックされる。

確認

show access-lists

対策

  • ワイルドカードマスク再計算
  • オブジェクトベース管理へ移行

5. DHCPスコープ未更新

症状

  • IP取得不可
  • 旧マスク配布

確認

  • Option 003(GW)
  • Option 001(Subnet Mask)
  • Option 006(DNS)

特に固定IP端末が盲点になりやすい。

6. ARPキャッシュとGratuitous ARP未送信

症状

  • 一時的通信不安定

確認

show ip arp
arp -a

対策

  • ARPクリア
  • インターフェース再起動
  • Gratuitous ARP送信確認

7. OSPFエリア設計の落とし穴

問題例

  • area 0に属さない
  • stubエリアとの整合性崩壊
  • networkコマンド未更新

確認

show ip ospf neighbor
show ip ospf interface

8. MTU不一致問題

サブネット拡張に伴いL3機器を跨ぐ経路が変わると、 PMTUD失敗やフラグメント問題が発生することがあります。

確認

ping -f -l 1472 宛先IP

9. 逆引きDNS未更新

認証系システムやログ監査で問題発生。

確認

nslookup IPアドレス

10. クラウド側セキュリティ設定漏れ

  • Security Group
  • NACL
  • ルートテーブル

オンプレ変更時にクラウド側を忘れがち。

変更前チェックリスト

  • ルーティング広告範囲
  • 要約ルート
  • FHRP設定
  • ACLマスク
  • DHCPスコープ
  • 逆引きDNS
  • 監視設定
  • クラウド設定

実践的な作業順序

  1. DNS TTL短縮
  2. 設定事前投入(shutdown状態)
  3. メンテナンス時間で切替
  4. 往復通信確認
  5. ログ監視
  6. 旧設定削除

まとめ

サブネット変更は IP変更ではなく、L3設計変更です。

特に注意すべきは:

  • 要約ルート
  • 非対称通信
  • FHRP
  • ACLマスク
  • DHCP/固定IP端末

本記事のチェック項目を事前に実施すれば、 “なぜか通信できない”状態は確実に防げます。

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