「昨日まで使えていたネットワークプリンタが突然見つからない」 「IP直指定なら印刷できるが、一覧に出てこない」
このトラブルは、プリンタ故障よりもネットワーク側の問題であるケースが大半です。
本記事では、
ネットワークプリンタが見つからない原因をレイヤ別に切り分け、確実に復旧させる方法を解説します。
目次
まず確認すべき結論
- IP疎通できるか(ping)
- 同一セグメントか
- マルチキャスト/ブロードキャストが遮断されていないか
「プリンタが壊れた」と判断するのは一番最後です。
原因① プリンタと端末が同一ネットワークにいない
よくあるケース
- VLANが分かれている
- Wi-Fiと有線でセグメントが違う
- VPN接続中
確認方法
ipconfig
ifconfig
ip addr
プリンタIPと端末IPのネットワーク部が一致しているか確認します。
原因② pingは通るがプリンタが自動検出されない
この場合、検出用プロトコルが遮断されている可能性が高いです。
使われる代表的なプロトコル
- mDNS(UDP 5353)
- LLMNR
- SNMP
- WS-Discovery
FWやVLAN間通信でマルチキャストが遮断されると、 プリンタは「存在しない」ように見えます。
原因③ ファイアウォールによる通信遮断
最低限必要な通信
| 用途 | ポート |
|---|---|
| 印刷(RAW) | TCP 9100 |
| LPR | TCP 515 |
| IPP | TCP 631 |
| SNMP | UDP 161 |
「ping OK = 印刷OK」ではありません。
原因④ DHCP変更・IPアドレス変更
プリンタのIPがDHCPの場合、 アドレス変更で見つからなくなるケースがあります。
対処
- 固定IPに変更
- DHCP予約を設定
原因⑤ DNS登録・名前解決の失敗
プリンタ名で登録している場合、 DNS不整合で見つからなくなることがあります。
確認
nslookup printer-name
ping printer-name
IP直指定で印刷できるなら、DNSが原因です。
原因⑥ 無線LAN特有の問題
- AP間ローミング
- 省電力機能
- クライアントアイソレーション
Wi-Fiではマルチキャスト制御が原因になりやすいです。
切り分けフローチャート(実務向け)
- pingが通るか
- IP直指定で印刷できるか
- FWログで9100/631が許可されているか
- VLAN間でマルチキャストが通るか
- DNS名解決できるか
即効性のある対処方法
- IPアドレス直指定でプリンタ追加
- 固定IP化
- FWで印刷ポート明示許可
- VLAN間は印刷用ポリシー作成
設計での再発防止策
- プリンタ専用VLAN設計
- IP固定+DNS登録
- 印刷通信をFWで明示制御
- 無線LANではmDNS設計を考慮
まとめ
ネットワークプリンタが見つからない原因の多くは、
「検出通信が届いていない」ことです。
pingに惑わされず、 「どのプロトコルで見つけているか」を意識すると、 切り分けは一気に楽になります。
プリンタはネットワーク機器である ——この視点が最も重要です。
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