ネットワークセグメント設計は、通信の効率化・セキュリティ強化・トラブルシューティングの容易さに大きな影響を与えます。セグメント設計が適切でないと、ブロードキャスト嵐、意図しない通信の混在、アドレス枯渇などの問題が発生します。本記事では、最適なセグメント設計とIPアドレス管理の実務テクニックについて解説します。
ネットワークセグメント設計の目的
- 通信の効率化(レイヤ2ドメインの縮小)
- セキュリティの向上(アクセス制御をセグメント単位で適用)
- トラブルを限定できる構成の実現
- アドレスの有効活用と管理の容易化
最適なセグメント数を決める考え方
1. 業務機能ごとに分ける(最重要)
同じ用途の端末は同一セグメント、異なる用途は分離するのが基本です。
- 例:管理端末、サーバ、無線LAN、ゲスト、監視機器
2. レイヤ2ドメインを縮小する
1セグメントあたりの端末が増えるほど、以下のリスクが増加します。
- ブロードキャスト増加
- STP切り替え遅延
- 障害影響範囲の肥大化
一般企業の標準として、1セグメントは 50〜200端末 を目安にすると安定します。
3. セキュリティ要件を考慮する
セグメント設計はそのままセキュリティ設計と直結します。
- 情報資産の重要度で分離
- 外部公開サーバは DMZ に隔離
- 管理ネットワークは厳格に分離
推奨されるセグメント構成の例
一般的な中規模ネットワークを例にしたセグメント分割の一例です。
| 用途 | セグメント例 |
|---|---|
| 管理端末 | 192.168.10.0/24 |
| 社内PC | 192.168.20.0/23 |
| 無線LAN(社内) | 192.168.30.0/24 |
| 無線ゲスト | 192.168.40.0/24 |
| サーバ(オンプレ) | 192.168.100.0/24 |
| 監視専用ネットワーク | 192.168.200.0/24 |
用途ごとに分離することで、アクセス制御・トラブル特定が大幅に容易になります。
IPアドレス設計のベストプラクティス
1. 利用用途別にアドレス計画書を作成する
現場では「どこに何を割り当てたか分からない」というトラブルが多発します。アドレス計画書を作り以下を記録します。
- セグメント名
- 用途
- ネットワークアドレス
- 使用中IPの一覧
- 予約IP(サーバ、スイッチ、ルータ)
2. 固定IPとDHCPアドレス範囲を明確に分離する
アドレス重複トラブルを防ぐため、以下のように分けるのが一般的です。
- 固定IP → 192.168.20.1〜192.168.20.50
- DHCP → 192.168.20.100〜192.168.20.254
特にスイッチ・ルータ・サーバのアドレスはリスト化して管理することが重要です。
3. 予備アドレスを常に残しておく
将来の拡張に備えて、1セグメントあたり 20〜30% の余白 を残すことが推奨されます。
4. IPv6 併用時は DNS と一体で管理する
IPv6はアドレスが長いため、人が手動で管理するのは現実的ではありません。以下の組み合わせが有効です。
- DNS 登録と自動連携(DDNS)
- DHCPv6によりアドレス管理を標準化
アドレス管理を効率化する具体的なツール
1. NetBox(おすすめ)
データセンター・企業ネットワークでの標準的な管理ツールです。
- IPAM(IPアドレス管理)
- デバイス情報管理
- ラック図管理
- API連携
2. phpIPAM
軽量で扱いやすいオープンソースのIPアドレス管理ツールです。
3. Excel(小規模なら十分)
台数が少ない環境では Excel も実用的です。 ただし大型化したらツールへ移行することをおすすめします。
運用でよくある失敗と回避方法
1. セグメント数が多すぎる
細かく分けすぎると管理が複雑になります。 基本は「用途ごとに必要最小限」で十分です。
2. 運用ルールが統一されていない
以下のルールは必須です。
- 固定IPの割り当て方法
- DHCP範囲
- 予約アドレスの扱い
- 命名規則(ホスト名)
3. 拡張性を考えないセグメント割り
運用開始後に端末が倍増して困るケースが多発します。 最初から「今後3〜5年での増加」を見込んで設計することが重要です。
まとめ
ネットワークセグメント設計は、通信効率・セキュリティ・運用性に直結する重要要素です。実務では以下を徹底するだけで、大幅に安定したネットワークを構築できます。
- 用途ごとにセグメントを分離する
- レイヤ2ドメインを適度なサイズに抑える
- アドレス計画書を作成して管理を一元化する
- 固定IP・DHCP 範囲を明確に分離する
- NetBox や phpIPAM などの管理ツールを活用する
適切なセグメント設計は、障害対応の容易さにも直結し、運用コストの削減にもつながります。ぜひ、将来を見据えた設計と適切なIP管理を実践してください。


