FWログは正常なのに通信できない?現場で頻発する典型トラブル7選【原因別に完全解説】

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「FWログでは allow になっている」
「deny ログも出ていない」
それなのに 通信できない

これは FW運用の現場で 最も多い“勘違いトラブル” です。

本記事では、
「ログは正常なのに通信できない」典型パターン通信フェーズ別・原因別 に整理し、 どこを見れば一発で気づけるのか まで踏み込んで解説します。

目次

まず結論:FWログは「通信成功」を保証しない

FWログが示しているのは、多くの場合 以下だけ です。

  • FWにパケットが届いた
  • ポリシー上は許可された

通信が成立したかどうか は、 FWログだけでは分かりません。

この前提を理解していないと、以降の切り分けは必ず迷走します。

典型パターン①:FWログはAllow、でもセッションが存在しない

よくある状況

  • FWログ:Allow
  • セッションテーブル:該当なし

なぜ起きる?

FWログは ポリシー評価時点 で出力されます。 その後、以下の理由で即破棄されることがあります。

  • NAT未設定
  • サービス(ポート)不一致
  • ポリシー順序ミス

気づくポイント

ログは出ているのにセッションが1件も残らない 場合、 NATまたはFW内部処理を疑います。

典型パターン②:SYNは通るがACKが返らない

ログとセッション

FWログ:Allow TCP
セッション:SYN_SENT

通信の意味

  • SYNは送信済み
  • SYN/ACKが返ってきていない

主な原因

  • サーバでサービス未起動
  • サーバ側FWで遮断
  • 戻り通信の経路不備

FWログは「行き」しか見ていません。
問題は「戻り」にあります。

典型パターン③:非対称ルーティングで通信が壊れる

状況

  • FWログ:毎回Allow
  • セッション:すぐ消える

なぜFWは通信を破棄する?

FWは ステートフル です。 戻り通信が別経路を通ると、同一セッションと認識できません。

結果

  • ログは正常
  • でも通信は成立しない

FWログだけ見ていると100%ハマる罠 です。

典型パターン④:ESTABLISHEDなのに通信できない

セッション状態

State: ESTABLISHED

この時点で分かること

FW・NATは正常

それでも通信できない理由

  • SSL/TLS証明書エラー
  • アプリケーション設定不備
  • MTU不一致

この状態でFWを疑い続けるのは 時間の無駄 です。

典型パターン⑤:ログはAllowだが、別ポリシーで落ちている

ありがちな設計

  • ポリシーA:Allow(ログ有)
  • ポリシーB:Deny(ログなし)

現象

ログには Allow しか出ないのに、実際は後段で遮断。

対策

  • ポリシー順序の可視化
  • 暗黙denyの存在確認

典型パターン⑥:NAT変換は正しいが、戻りがSNATされていない

症状

  • DNATは見える
  • 通信は成立しない

原因

  • 戻り通信が別ルータへ
  • SNAT未設定

FWログは行きのDNATしか示しません。

典型パターン⑦:ログ対象外通信で落ちている

  • セッション確立後のRST
  • タイムアウト切断

これらは 通常ログに出ません

対処

  • セッションテーブル確認
  • タイムアウト設定確認

実務での最短切り分けフロー

  1. FWログで入口確認
  2. セッション有無を確認
  3. TCP状態を見る
  4. NAT変換を見る
  5. 戻り経路を確認

ログだけを見続けない。 これが最大のポイントです。

まとめ

  • FWログは「許可」を示すだけ
  • 通信成立はセッションで判断する
  • 非対称・戻り通信が最大の落とし穴

「ログは正常なのに…」と感じた瞬間、 セッションテーブルを見る。 これを習慣にすれば、FWトラブルは怖くありません。

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