ネットワーク構成管理ツール比較【NetBox・SolarWinds の実務活用】

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ネットワークの規模が大きくなるほど、構成情報・IPアドレス・機器一覧・配線・ラック配置などの管理が複雑化します。 スプレッドシートで管理するには限界があり、運用ミスや情報の陳腐化が発生しやすくなります。 そこで活用されるのが「ネットワーク構成管理ツール」です。

本記事では、実務で導入事例の多いNetBox と SolarWindsの2つを比較し、 実際の現場でどのように使われているかまで詳しく解説します。

目次

■ NetBox と SolarWinds の比較一覧

項目NetBoxSolarWinds
ライセンスオープンソース(無料)商用(有料)
主な用途IPAM・DCIM・構成管理監視(NPM)+構成管理(NCM)
強み高い拡張性・API機能・自動化と相性良し監視から設定管理までワンストップ
弱み構築と初期設定のハードルが高めライセンス費用が高い
最適な環境中〜大規模の自社ネットワーク運用監視を包括的に管理したい企業

■ NetBox(オープンソース)とは?

NetBoxは、IPアドレス管理(IPAM)とデータセンター管理(DCIM)を中心に、 ネットワーク構成情報を一元管理するためのオープンソースツールです。 APIベースの設計で、Ansible や Python による自動化と非常に相性が良いのが特徴です。

【NetBox の主な機能】

  • IPアドレス管理(IPAM)
  • ラック・デバイス配置管理(DCIM)
  • ケーブル配線管理
  • VLAN / VRF 管理
  • 機器情報(型番・シリアル・ロケーション)管理
  • API・Webhook 対応

【メリット】

  • 無料で利用可能
  • 自動化スクリプトとの連携が簡単
  • ネットワーク台帳を最新状態で維持しやすい
  • カスタマイズ性が非常に高い

【デメリット】

  • 導入・運用には一定のLinux知識が必要
  • 使いこなすにはスキーマ理解が必要
  • 監視機能は持たない(別ツールが必要)

【NetBox の実務活用例】

● IPアドレス管理を Excel から移行  
● VLAN 一覧とスイッチ設定を紐づけ  
● Ansible と連携して自動構築  
● 機器更新計画の棚卸し  
● ケーブル配線管理(配線図を電子化)

特に、運用が属人化している環境では、NetBox の導入により 「ネットワーク台帳の正確性が劇的に向上」します。

■ SolarWinds(商用ツール)とは?

SolarWinds は世界的に導入されているネットワーク監視・構成管理ツールで、 特に「NPM(監視)」と「NCM(設定管理)」の組み合わせが強力です。

【SolarWinds の主な機能】

  • ネットワーク監視(NPM)
  • 死活・トラフィック監視
  • 構成管理(NCM)
  • 設定の自動バックアップ
  • ログ監視(Log Analyzer)
  • コンプライアンスチェック(設定準拠)

【メリット】

  • 監視と構成管理をまとめて運用できる
  • GUI がわかりやすく習得しやすい
  • コンプライアンスチェックが自動化できる
  • バックアップ取得や差分確認が非常に楽

【デメリット】

  • ライセンス費用が高い
  • 大規模環境ではサーバリソースが必要
  • カスタマイズ性は NetBox に劣る

【SolarWinds の実務活用例】

● 設定バックアップを自動化(全機器を夜間に取得)  
● 差分比較で設定変更を即発見  
● 行き過ぎた ACL や不要コマンドを検知  
● 不正設定をコンプライアンスルールで自動チェック  
● 障害時のトポロジ図で経路を可視化

SolarWinds は「監視+構成管理を一体化したい」企業に最適です。

■ NetBox と SolarWinds の使い分け方

両者は競合というよりは役割が異なるツールです。 実務では以下のように住み分けられています。

● NetBox が向いている環境

  • IPアドレス管理を Excel から脱却したい
  • 構成管理データベース(CMDB)を整備したい
  • 自動化スクリプトを作りたい
  • コストを抑えたい

● SolarWinds が向いている環境

  • 監視と構成管理をワンストップで管理したい
  • バックアップ管理を自動化したい
  • トラブル時の原因特定を早くしたい
  • 商用サポートが欲しい

■ 組み合わせ運用が最強

実際の現場では “NetBox(構成管理)+ SolarWinds(監視・設定管理)” を同時に使うケースも多くあります。

NetBox → 正・最新の台帳データを保管  
SolarWinds → 構成バックアップ・監視・差分管理  

この組み合わせにより、 資産管理・設定管理・監視 が完全に統合され、 運用の品質が大幅に向上します。

■ まとめ

NetBox と SolarWinds は比較されがちですが、 目的が異なるため「どちらが優れている」というものではありません。

  • NetBox:構成管理・自動化に強い(無料)
  • SolarWinds:監視と設定管理を一元化(有料)

ネットワーク運用を効率化したい場合は、 まず NetBox で構成台帳を整備し、 監視や設定バックアップが必要な場合は SolarWinds を併用する形が最も効果的です。

導入を検討中のネットワーク担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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