TCP と UDP の違いと使用用途まとめ

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ネットワーク通信において、TCPUDP は最も基本的かつ重要なプロトコルです。
どちらも「トランスポート層(OSI第4層)」で動作しますが、通信の信頼性・速度・用途に大きな違いがあります。
この記事では、TCPとUDPの違いを初心者にもわかりやすく解説し、どのような場面で使われるのかを整理します。

目次

🔹 TCPとUDPの位置づけ(OSI参照モデル)

OSI層主な役割プロトコル例
第7層 アプリケーション層HTTP, FTP, DNSなどのアプリ通信HTTP, HTTPS, FTP, SMTP
第6層 プレゼンテーション層データの形式変換や暗号化SSL/TLS など
第5層 セッション層通信の確立・維持・終了管理NetBIOS など
第4層 トランスポート層信頼性制御・分割・再送TCP / UDP
第3層 ネットワーク層経路選択とIPアドレス管理IP, ICMP
第2層 データリンク層同一ネットワーク内の転送Ethernet, PPP
第1層 物理層電気信号・光信号の伝送ケーブル, 無線波

TCPとUDPはいずれも、アプリケーション層のデータを分割して相手に届ける役割を担っています。

🔹 TCP(Transmission Control Protocol)とは

特徴

TCPは信頼性の高い通信を実現するプロトコルです。
データの順序・欠落・重複を自動的に制御する仕組みを持っています。

特徴内容
コネクション型通信通信開始前に「コネクション(接続)」を確立(3ウェイハンドシェイク)
信頼性が高い再送制御・順序制御・誤り検出によりデータを正確に届ける
遅延が発生しやすい確認応答(ACK)を待つため、リアルタイム性は低い
代表的なポート番号80(HTTP)、443(HTTPS)、22(SSH)、25(SMTP)など

TCP通信の流れ(3ウェイハンドシェイク)

クライアント → サーバ
    SYN        (接続要求)
サーバ → クライアント
    SYN-ACK    (要求受理・応答)
クライアント → サーバ
    ACK        (接続確立)

この3段階のやり取りによって、TCPは確実な通信路を確立します。

TCPを利用する代表的なサービス

サービス用途ポート番号
HTTP / HTTPSWebアクセス80 / 443
SSHサーバリモート接続22
SMTP / POP3メール送受信25 / 110
FTPファイル転送21

🔹 UDP(User Datagram Protocol)とは

特徴

UDPは速度重視・シンプル設計のプロトコルです。
TCPのような接続確立や再送制御を行わないため、通信のオーバーヘッドが少なく高速です。

特徴内容
コネクションレス通信接続確立を行わず、送りっぱなし(相手が受け取った保証なし)
軽量・高速TCPより処理が軽く、リアルタイム性が高い
信頼性は低いパケットの欠落・順序の保証なし
代表的なポート番号53(DNS)、67/68(DHCP)、123(NTP)など

UDP通信の流れ(シンプル構造)

クライアント → サーバ
    データ送信(完了)

通信相手が受け取ったかどうかは確認しません。
その代わり、一方通行で高速な通信が可能です。

UDPを利用する代表的なサービス

サービス用途ポート番号
DNS名前解決53
DHCPIPアドレス割り当て67 / 68
NTP時刻同期123
SNMP機器監視161
VoIP / Zoom など音声・映像通信動的ポート

🔹 TCPとUDPの比較表

比較項目TCPUDP
通信方式コネクション型コネクションレス型
信頼性高い(再送・順序制御あり)低い(保証なし)
通信速度遅い(オーバーヘッド大)速い(オーバーヘッド小)
エラー処理自動で再送アプリ側で必要
利用例Web、メール、SSHDNS、音声通話、映像配信
パケット順序保証ありなし

🔹 TCPとUDPの使い分け方

状況適したプロトコル理由
正確な通信が必要(ファイル転送・メール)TCP信頼性重視
高速・リアルタイム通信(通話・動画配信)UDP遅延を最小化
軽量な通信(監視・ブロードキャスト)UDP少量データに適する

🔹 図で見るTCPとUDPのイメージ

TCP通信(信頼性重視)
[送信者] →─→─→ [受信者]
  │ ←── ACK(確認応答)──┘

UDP通信(速度重視)
[送信者] →→→ [受信者]
  ※応答なし、送るだけ

🔹 まとめ

要点内容
TCPは信頼性重視再送・順序制御により確実な通信を実現
UDPは速度重視確認応答なしでリアルタイム通信に最適
アプリに応じて使い分けが重要Web・メールはTCP、動画や音声はUDP

🔹 まとめ図

プロトコル通信方式強み弱み主な用途
TCPコネクション型確実に届く遅延があるWeb、メール、SSH
UDPコネクションレス高速・軽量信頼性が低い通話、配信、DNS

次回記事では、TCP/UDPに続くテーマとして「ポート番号の仕組みと覚え方」を解説予定です。
ネットワーク通信の理解をさらに深めるために、各アプリケーションとポートの関係も整理していきましょう。

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