ネットワークの基礎を学ぶ上で欠かせないのが「ポート番号(Port Number)」です。 ポート番号は、1台のコンピュータが複数の通信を同時に行うための“入口番号”のようなもの。 この記事では、ポート番号の仕組みを初心者にもわかりやすく整理し、CCNAでも頻出の代表ポート番号を効果的に覚える方法を紹介します。
目次
🔹 ポート番号とは?
ポート番号は、通信相手(IPアドレス)だけでなく、どのアプリケーションと通信するかを区別する番号です。 IPアドレスが「家の住所」なら、ポート番号は「部屋番号」に相当します。
例: 送信元: 192.168.1.10:50000 宛先: 203.0.113.1:80
上記の場合、「192.168.1.10」が通信元IPアドレス、「50000」が送信元ポート番号。 宛先の「203.0.113.1」はWebサーバのIP、「80」はHTTPのポート番号を表しています。
🔹 ポート番号の分類(範囲)
範囲 | 名称 | 用途 |
---|---|---|
0 ~ 1023 | ウェルノウンポート(Well-known Port) | 主要なサービスで固定的に使用(HTTP, SSH, DNSなど) |
1024 ~ 49151 | 登録ポート(Registered Port) | ベンダーやアプリケーションで登録されている |
49152 ~ 65535 | 動的ポート(Dynamic / Private Port) | 一時的な通信(クライアント側の自動割り当て) |
たとえば、ブラウザでWebページを開くとき、 自分のPCは動的ポート(例:50000番)を使い、WebサーバのHTTP(80番)にアクセスします。
🔹 TCPとUDPでのポート番号の使われ方
ポート番号は、TCPとUDPそれぞれに独立して存在します。 つまり、TCP 80番とUDP 80番は別物として扱われます。
プロトコル | 特徴 | 代表的なポート番号 |
---|---|---|
TCP | 信頼性重視(接続型通信) | 80(HTTP)、443(HTTPS)、22(SSH)など |
UDP | 速度重視(コネクションレス) | 53(DNS)、123(NTP)、67/68(DHCP)など |
CCNA試験では、どのサービスがTCPかUDPかをセットで覚えることが重要です。
🔹 代表的なポート番号一覧
サービス名 | ポート番号 | プロトコル | 用途・説明 |
---|---|---|---|
HTTP | 80 | TCP | Webページ閲覧(暗号化なし) |
HTTPS | 443 | TCP | SSL/TLSで暗号化されたWeb通信 |
FTP | 20 / 21 | TCP | ファイル転送 |
SSH | 22 | TCP | サーバへのリモート接続 |
DNS | 53 | TCP / UDP | ドメイン名の名前解決 |
SMTP | 25 | TCP | メール送信 |
POP3 | 110 | TCP | メール受信 |
IMAP | 143 | TCP | メール受信(サーバ上管理型) |
DHCP | 67 / 68 | UDP | IPアドレス自動割り当て |
NTP | 123 | UDP | 時刻同期 |
SNMP | 161 | UDP | ネットワーク機器監視 |
RDP | 3389 | TCP | Windowsリモートデスクトップ |
🔹 ポート番号の覚え方(語呂合わせ・整理法)
暗記ではなく、サービスの性質や利用目的と関連づけることがコツです。
📘 覚え方の例
- 22番(SSH) → 「にーにー(兄さん)がサーバ守る」
- 25番(SMTP) → 「25(にっこり)メール送信」
- 53番(DNS) → 「ご参(53)照ください(名前解決)」
- 80番(HTTP) → 「や(8)っぱりWeb」
- 443番(HTTPS) → 「しっかり(443)暗号化」
また、下記のように用途ごとにグルーピングして覚えると整理しやすいです。
カテゴリ | 主なプロトコル | ポート番号 |
---|---|---|
Web通信 | HTTP / HTTPS | 80 / 443 |
リモート操作 | SSH / RDP | 22 / 3389 |
メール | SMTP / POP3 / IMAP | 25 / 110 / 143 |
名前解決・同期 | DNS / NTP | 53 / 123 |
IP管理・監視 | DHCP / SNMP | 67・68 / 161 |
🔹 ポート番号の確認コマンド(Linux例)
実際のサーバでどのポートが開いているか確認するには、以下のコマンドを使用します。
# 現在開いているポートの確認
sudo netstat -tuln
# または
sudo ss -tuln
出力例:
Proto Recv-Q Send-Q Local Address Foreign Address State
tcp 0 0 0.0.0.0:22 0.0.0.0:* LISTEN
tcp6 0 0 :::80 :::* LISTEN
udp 0 0 0.0.0.0:53 0.0.0.0:*
→ これは、TCPの22番(SSH)、TCPの80番(HTTP)、UDPの53番(DNS)が開いている状態です。
🔹 まとめ
ポイント | 要約 |
---|---|
ポート番号とは | 通信の「部屋番号」。アプリごとに識別する仕組み。 |
範囲 | 0-1023(固定)、1024-49151(登録)、49152-65535(動的) |
TCPとUDPの違い | TCPは信頼性重視、UDPは速度重視。番号体系は別。 |
覚え方 | 語呂合わせ+カテゴリ分類で整理。 |
ポート番号を理解すると、通信トラブルの原因特定・Firewall設定・CCNA試験に大きく役立ちます。