リンクアグリゲーション(LACP)の仕組みと設定例

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ネットワークの安定性と帯域を向上させるために利用される技術が「リンクアグリゲーション(Link Aggregation)」です。 その中でも、特に多くの環境で使われているのが「LACP(Link Aggregation Control Protocol)」です。 本記事では、LACPの基本概念、仕組み、設定例を分かりやすく解説します。

目次

🔹 リンクアグリゲーションとは?

リンクアグリゲーション(Link Aggregation)は、複数の物理的なネットワークインターフェースを1つの論理インターフェースとして束ねる技術です。 これにより以下のような効果が得られます。

  • 帯域幅の向上: 複数リンクをまとめて高スループットを実現。
  • 冗長性の確保: 1本のリンク障害でも通信を継続できる。
  • 負荷分散: トラフィックを複数の経路に分散可能。
項目内容
正式名称Link Aggregation(リンク集約)
標準規格IEEE 802.3ad / IEEE 802.1AX
主な目的冗長化・帯域拡張・負荷分散

🔹 LACP(Link Aggregation Control Protocol)とは?

LACPは、リンクアグリゲーションを自動で構成・制御するためのプロトコルです。 手動設定(Static EtherChannel)とは異なり、リンク状態を動的に検出して最適な集約構成を維持します。

📘 LACPの特徴

  • 自動でリンクの追加・削除を検出
  • リンク異常時は自動でフェイルオーバー
  • 最大8本のリンクを1グループに集約可能(Cisco機器など)

🧩 動作モード

モード説明
ActiveLACPを積極的に開始し、相手とネゴシエーションを行う。
Passive相手からのLACP要求に応答する(自らは開始しない)。

通常は片方を Active、もう片方を Passive に設定して構成します。

🔹 LACPの仕組み

LACPでは、各リンクの状態をLACPDU(LACP Data Unit)でやり取りし、集約可能かを判断します。 使用可能なリンクはアクティブグループに登録され、冗長用リンクはスタンバイ状態となります。


例)スイッチAとスイッチB間で2本のリンクを集約
┌──────────┐          ┌──────────┐
│ Switch A       │==========│ Switch B       │
│  Gi0/1, Gi0/2  │          │  Gi0/1, Gi0/2  │
└──────────┘          └──────────┘
      ↓ LACPにより1つの論理インターフェース(Port-Channel)として動作

🔹 設定例(Cisco IOS)

スイッチA側の設定例:


interface range GigabitEthernet0/1 - 2
  channel-group 1 mode active
  no shutdown

interface Port-channel1
  switchport mode trunk

スイッチB側の設定例:


interface range GigabitEthernet0/1 - 2
  channel-group 1 mode passive
  no shutdown

interface Port-channel1
  switchport mode trunk

上記設定により、2本の物理リンクが「Port-channel1」として論理的にまとめられます。 冗長構成を保ちつつ、トラフィックを分散することができます。

🔹 動作確認コマンド


show etherchannel summary
show interfaces port-channel 1
show lacp neighbor

これらのコマンドで、集約状態・相手ポート・LACPネゴシエーション状況を確認できます。

🔹 LACPが動作しないときのチェックポイント

  • 両端が同じモード(Active / Passive)の組み合わせになっているか
  • 速度・デュプレックス・VLAN設定が一致しているか
  • STP設定によりブロックされていないか
  • ケーブル障害・ポートエラーがないか

🔹 まとめ

項目概要
目的帯域拡張・冗長化・負荷分散
プロトコルLACP(IEEE 802.3ad)
動作モードActive / Passive
設定例Cisco IOSでは「channel-group X mode active/passive」

リンクアグリゲーション(LACP)は、ネットワークの信頼性と性能を大幅に向上させる重要な技術です。 サーバ・スイッチ間やコアスイッチ間での帯域拡張・冗長化に広く活用されています。

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