ネットワーク冗長化とは?SPOF・Active/Standby・障害時の切り替えを図解

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前の記事では、 ファイアウォールを使ってネットワーク境界の通信を制御する仕組み を学びました。

しかし、FirewallやRouter、Switchなどのネットワーク機器が 1台しか存在しない場合、その機器が故障するとどうなるでしょうか。

INTERNAL 💻 PC
→
SWITCH ▣ SW1
→
FIREWALL 🛡 FW1
→
EXTERNAL 🌐 Internet
もしSW1やFW1が故障したら、
PCはInternetへ通信できるでしょうか?

この構成では、通信経路上のどこか1台が故障すると 通信できなくなる可能性があります。

そこで重要になるのが、 ネットワークの冗長化です。

🌐 NETWORK INTERMEDIATE

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LESSON GOAL この記事のゴール

ネットワーク冗長化を単に 「機器を2台にすること」と覚えるのではなく、 障害が発生しても別の機器・回線・経路へ切り替えて 通信を継続できるように設計すること として理解することを目指します。

目次

ネットワーク冗長化とは?

ネットワーク冗長化とは、 Router・Switch・Firewall・回線などを複数用意して、 一部に障害が発生しても通信を継続できるようにする設計 です。

NORMAL MAIN 通常時に使用
障害発生 →
FAILOVER BACKUP 別経路へ切り替え

この障害時の切り替えを フェイルオーバー(Failover) と呼びます。

SPOF(単一障害点)とは?

冗長化を理解するうえで非常に重要なのが、 SPOFという考え方です。

SPOF Single Point of Failure

そこが故障するとシステムやネットワーク全体が 利用できなくなる箇所。

日本語では 単一障害点と呼ばれます。

💻 Client
→
SW1
→
SPOF 🔥 FW1
→
🌐 Internet

この構成ではFirewallが1台しかありません。

そのためFW1が故障すると、 内部NetworkとInternet間の通信がすべて停止します。

冗長化設計の基本は「SPOFを探す」こと

「どこか1か所を故障させたとき、 通信全体が止まらないか?」と考えると、 単一障害点を見つけやすくなります。

ネットワークでは何を冗長化する?

冗長化の対象はRouterやSwitchだけではありません。

01 機器の冗長化

Router・Switch・Firewallなどを 複数台用意します。

02 Linkの冗長化

LAN Cableや光回線などの 接続経路を複数用意します。

03 経路の冗長化

Routingによって複数の Packet転送経路を用意します。

04 WAN回線の冗長化

Internet回線や拠点間回線を 複数用意します。

機器を2台にするだけでは不十分

初学者が特に注意したいポイントです。

たとえばSwitchを2台用意したとします。

💻 Clients
SW1
SW2
SPOF Router1

Switchは2台ありますが、 その先のRouterが1台しかありません。

この場合、 Router1がSPOFとして残っています。

REDUNDANCY ≠ DEVICE × 2 機器を2台置くだけではなく ↓ END-TO-END PATH 通信経路全体を見る

単一構成と冗長構成を比較しよう

SINGLE 単一構成
PC → SW1 → FW1 → Internet

途中の機器やLinkが故障すると 通信できなくなる可能性があります。

REDUNDANT 冗長構成
PC → SW1 → FW1 → Internet
PC → SW2 → FW2 → Internet

Main経路が故障しても Backup経路を利用できます。

Active / Standbyとは?

FirewallやRouterなどの冗長化でよく使われる考え方が Active / Standbyです。

ACTIVE Device 1 通常時に通信を処理
STATUS ⇄ 監視・同期
STANDBY Device 2 待機

通常時はActive側が通信を処理し、 Standby側は待機します。

Active側に障害が発生すると、 Standby側が役割を引き継ぎます。

FAILED ✕ Device 1
→ FAILOVER →
NEW ACTIVE ✓ Device 2

Active / Activeとは?

もう1つ代表的な構成が Active / Activeです。

ACTIVE Device 1 通信を処理
ACTIVE Device 2 通信を処理

Active / Activeでは、 複数の機器が通常時から通信を処理します。

構成 通常時 障害時
Active / Standby 片方が処理 Standbyへ切替
Active / Active 複数台が処理 残った機器で処理
「2台ある=必ずActive / Standby」ではありません

製品や設計によって冗長化方式は異なります。 中級ではまず Active / StandbyとActive / Activeの基本的な違いを 理解しておけば十分です。

デフォルトゲートウェイも冗長化できる

PCが別Networkへ通信するとき、 デフォルトゲートウェイへPacketを送信します。

しかしGatewayとなるRouterが1台しかなければ、 Router故障時に外部Networkへ通信できません。

💻 PC Default Gateway
192.168.1.1
→
VIRTUAL IP 192.168.1.1
ACTIVE Router1
STANDBY Router2

このような問題を解決するため、 複数Routerで 仮想的な1つのDefault Gateway を提供する仕組みがあります。

VRRP 標準化された冗長化Protocol
HSRP Ciscoで利用される代表的なProtocol

たとえばPCには 192.168.1.1 という仮想IP AddressをDefault Gatewayとして設定します。

Router1が故障してRouter2へ切り替わっても、 PC側のDefault Gateway設定を変更する必要はありません。

Routingでも障害時に別経路へ切り替えられる

以前の記事で学習した 動的Routingも、 Network冗長化に重要な役割を持ちます。

Router A
MAIN ROUTE A → B → D
ALTERNATIVE A → C → D
Router D

Main経路が利用できなくなった場合、 Routing Protocolによって 別の経路へ切り替えられる場合があります。

冗長化とRoutingは密接に関係する

物理的にBackup Linkを用意しても、 Packetがその経路を利用できなければ意味がありません。 Routing設計まで含めて考える必要があります。

ここで実際に試してみよう:ネットワーク障害シミュレーター

ここまでの内容を使って、 単一構成と冗長構成で障害を発生させた場合の違い を確認してみましょう。

INTERACTIVE LAB

Network Redundancy Simulator

NORMAL
CLIENT 💻 PC
ACTIVE SW1
ACTIVE FW1
DESTINATION 🌐 Internet
PC → SW1 → FW1 → Internet
COMMUNICATION

✓ 通信可能

現在はすべての機器が正常に動作しています。

理解度チェック:どこがSPOF?

次の構成を確認してください。

PC
SW1 SW2
Router1
Internet

Switchは2台ありますが、 Routerは1台しかありません。 SPOFはどこでしょうか?

回答を選択してください

「その機器1台が故障しただけで通信全体が止まるか?」を考えてみましょう。

冗長化していても障害は発生する

Networkを冗長化すれば、 1台の機器が故障しても通信を継続できる可能性が高くなります。

しかし、冗長化しているからといって 障害そのものが発生しなくなるわけではありません。

USER 「通信できない」
→
CHECK どこまで届く?
→
TOOLS ping / traceroute
→
ISOLATE 障害箇所を絞る

実際の運用では、 「通信できない」という現象が発生したときに どこで通信が止まっているのか を調べる必要があります。

そこで次に学習するのが、 pingとtracerouteを使った障害切り分け です。

確認問題:ネットワーク冗長化を理解できたか確認しよう

QUESTION 01

SPOFの説明として正しいものはどれですか?

正解:B

SPOFはSingle Point of Failureの略で、 そこが故障するとSystemやNetwork全体が 利用できなくなる箇所を意味します。

QUESTION 02

Active / Standby構成の説明として適切なものはどれですか?

正解:A

Active側に障害が発生した場合、 Standby側へ役割を切り替えるのが 基本的なActive / Standby構成です。

QUESTION 03

冗長化設計で重要な考え方はどれですか?

正解:C

一部の機器だけを2台にしても、 他の機器やLinkが1つしかなければSPOFが残ります。 End-to-Endで通信経路を見ることが重要です。

YOUR SCORE 0 / 3

3問に挑戦してみましょう。

まとめ

01

Network冗長化とは 一部に障害が発生しても通信を継続できるようにする設計 である

02

SPOFとは そこが故障すると全体へ影響する単一障害点 である

03

冗長化では機器だけでなく Link・経路・WAN回線なども確認 する

04

Active / Standbyでは Active障害時にStandbyへFailover する

05

冗長化では End-to-EndでSPOFが残っていないか確認する ことが重要

NEXT LESSON

次は「ping・tracerouteを使った障害切り分け」を学びましょう

ここまでで、 障害が発生してもNetworkを継続させるための 冗長化の基本を学びました。

しかし実際の運用では、 「通信できない」という問題が発生したときに どこまで通信できて、どこから先で止まっているのか を調査する必要があります。

次はNetwork障害切り分けの基本となる pingとtracerouteを使って、 通信障害の発生箇所を絞り込む方法を学習します。

ping・tracerouteを使った障害切り分け →
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