「更改は成功したはずなのに問い合わせが急増した」
ネットワーク更改後にヘルプデスク・情シスへの問い合わせが増える現象は、 単なる“ユーザーの慣れ”ではありません。
本記事では、技術面・設計面・運用面の観点から なぜ更改後に問い合わせが増えるのかを体系的に解説します。
この記事を読めば、原因特定から再発防止まで一気通貫で整理できます。
目次
まず結論:問い合わせ増加は「設計のズレ」と「想定外の副作用」が原因
代表的な原因は以下の5分類です。
- 経路・セッション挙動の変化
- DNS・名前解決周りの影響
- MTU・フラグメント問題
- セキュリティポリシー強化による副作用
- ユーザー体感性能の変化
① 経路変更による副作用
よくある症状
- 一部拠点だけ遅い
- 特定アプリだけ不安定
- 片方向通信のみ失敗
原因例
- ECMPハッシュ偏り
- 非対称ルーティング
- セッションテーブルの経路不整合
確認コマンド例
show ip route
show ip cef exact-route 10.10.10.1 10.20.20.1
traceroute 10.10.10.1
更改後は「設計通りに流れているか」ではなく 以前と同じ挙動かを確認することが重要です。
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② DNS・名前解決の影響
- DNSサーバ変更
- TTL変更
- 分散構成への移行
確認例
nslookup example.com
dig example.com
ipconfig /all
DNS変更は更改で見落とされがちな影響源です。
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③ MTU問題(見落とし頻度が高い)
- 拠点間VPN経路変更
- FW挿入
- トンネル化
確認例
ping 10.10.10.1 -f -l 1472
断続的通信不良の問い合わせはMTUが原因のケースが多いです。
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④ セキュリティ強化による副作用
- FWポリシー厳格化
- IPS有効化
- プロキシ導入
- SSLインスペクション
症状
- 特定サイトのみ表示不可
- アップロード失敗
- Web会議が不安定
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⑤ ユーザー体感性能の変化
帯域は問題なくても、
- 遅延増加
- 経路長増加
- WAN最適化解除
などで「遅くなった」と感じます。
確認例
ping -n 20 8.8.8.8
tracert 8.8.8.8
組織的な原因(技術以外)
- 変更点をユーザーへ説明していない
- 操作感の違いを周知していない
- FAQ未整備
- ヘルプデスク教育不足
更改後の問い合わせ増加は、 コミュニケーション不足が3割以上を占めることもあります。
更改後問い合わせを減らすためのチェックリスト
- 変更差分の明文化
- 事前パフォーマンス比較
- セッション挙動確認
- MTU検証
- DNSキャッシュクリア確認
- FAQ事前配布
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まとめ
ネットワーク更改後に問い合わせが増える原因は、 単一要因ではなく複合的な副作用です。
- 経路変化
- DNS
- MTU
- セキュリティポリシー
- 体感性能
- 周知不足
更改成功=問い合わせゼロではありません。 「技術面+組織面」両方の視点で対策することが重要です。
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