回線は空いているのに遅い理由|見落としがちなボトルネック一覧【帯域以外の真犯人を完全解説】

  • URLをコピーしました!

「回線使用率は30%なのに遅い」
「帯域は余裕があるのにWebが重い」
「増速したのに体感が変わらない」

この現象は、ネットワーク現場で非常に多い“思い込みトラブル”です。

結論から言うと、遅さ=帯域不足ではありません。
ボトルネックは別のレイヤに潜んでいる可能性が高いです。

本記事では、

  • 回線が空いているのに遅くなる原因
  • レイヤ別の見落としポイント
  • 即実践できる確認コマンド
  • 本当に効果がある改善策

を体系的に解説します。この記事だけで切り分けが可能です。

目次

■ 結論:ボトルネックは「帯域」ではなく「処理・遅延・制御」にある

回線使用率が低いのに遅い場合、疑うべきは以下です。

  1. FW/UTMの処理性能限界
  2. セッション数逼迫
  3. DNS遅延
  4. MTU不一致
  5. TCP再送増加
  6. 輻輳制御の影響
  7. SSLインスペクション負荷
  8. ISP経路問題

■ レイヤ別:見落としがちなボトルネック

① FW/UTMのスループット制限

よくある誤解

「回線は1Gbpsだから問題ない」

→ 実際のボトルネックはFWの実効スループットです。

典型例

  • IPS有効時に性能半減
  • SSL復号で1/3に低下
  • 小パケット大量通信で処理限界

確認ポイント

  • FW CPU使用率
  • セッション数
  • データシートの実効値

② セッション数逼迫

帯域が空いていても、 セッションテーブルが逼迫すると新規通信が遅延します。

確認方法

show session summary

兆候

  • Webだけ遅い
  • 新規接続が重い

③ DNS遅延

帯域とは無関係に体感速度を大きく左右します。

確認方法

nslookup google.com

応答が1秒以上 → DNSボトルネック

④ MTU不一致(意外と多い)

PPPoEやVPN環境で発生しやすいです。

症状

  • 特定サイトだけ遅い
  • HTTPSだけ遅い

確認

ping -f -l 1472 8.8.8.8

断片化発生 → MTU調整必要

⑤ TCP再送増加

回線使用率が低くても、再送が多いと遅くなります。

原因例

  • 片方向パケットロス
  • FWドロップ
  • 非対称ルーティング

確認

  • WiresharkでRetransmission確認
  • netstat -s

⑥ 小パケット大量通信

帯域は空いていても、パケット処理能力が限界に達するケース。

特に:

  • VoIP
  • オンライン会議
  • API大量呼び出し

⑦ バッファブロート

低速回線や古いルータで発生。

帯域は使い切っていないが、 バッファ滞留でレイテンシが急増。

⑧ ISP側経路混雑

社内帯域は空いているが、 ISP内部で輻輳しているケース。

確認

tracert 8.8.8.8

■ 実践切り分けフロー

Step1:FW CPU確認

Step2:セッション数確認

Step3:DNS応答時間確認

Step4:再送確認

Step5:MTU確認

この順番で進めると、効率的です。

■ 帯域増速で解決しない典型パターン

原因増速で解決するか
FW処理限界×
DNS遅延×
MTU不一致×
ISP経路問題×
帯域逼迫

■ 改善の優先順位

  1. FW性能確認
  2. DNS改善
  3. 再送原因特定
  4. MTU調整
  5. QoS設計

■ まとめ

回線が空いているのに遅い原因は、

  • 処理性能
  • セッション制御
  • DNS
  • MTU
  • 再送
  • ISP経路

など、帯域以外の要因が大半です。

「使用率を見るだけの運用」から脱却し、遅延・再送・処理性能を見ることが重要です。

目次