ネットワークトラブルの現場で、
「ARPがおかしいのか?MACテーブルがおかしいのか?」
と迷ったことはないでしょうか。
この2つはどちらもL2に関係しますが、
役割・保持主体・障害の出方がまったく異なります。
混同したまま切り分けを進めると、
- 確認ポイントがズレる
- 対処しても直らない
- 「時間が経つと直る」で終わる
という状態に陥ります。
本記事では、
- ARPキャッシュとMACテーブルの本質的な違い
- 障害の症状からの見分け方
- 確認・対処・解決判断の具体手順
を、実務で迷わないレベルまで落とし込みます。
目次
まず結論:ARPとMACは「覚えている場所」が違う
| 項目 | ARPキャッシュ | MACテーブル |
|---|---|---|
| 保持主体 | 端末・サーバ・ルータ | スイッチ |
| 覚えているもの | IP ⇔ MAC | MAC ⇔ ポート |
| 影響範囲 | 特定端末視点 | 配下全体 |
この違いを理解するだけで、
切り分けスピードは一気に上がります。
ARPキャッシュとは何か
ARP(Address Resolution Protocol)は、
IPアドレスからMACアドレスを知るための仕組み
です。
端末やサーバは、
- 通信先IP
- 対応するMAC
を一時的にARPキャッシュとして保持します。
このキャッシュが誤ると、
「正しい相手にパケットが届かない」
状態になります。
MACアドレステーブルとは何か
MACアドレステーブル(CAMテーブル)は、
スイッチがMACとポートを紐づけて記憶する仕組み
です。
スイッチは、
- どのMACが
- どのポートに接続されているか
を学習し、フレームを正しい方向に転送します。
これが狂うと、
通信が誤ったポートに流れます。
症状から見抜く切り分け早見表
| 症状 | 疑うべきもの |
|---|---|
| 特定端末だけ通信不可 | ARPキャッシュ |
| ポート配下の端末がまとめて不安定 | MACテーブル |
| 再起動で即復旧 | ARPキャッシュ |
| 時間が経つと自然復旧 | MACテーブル |
まずは
「影響範囲が点か面か」
を見ます。
ARPキャッシュを疑う場合の確認手順
確認
arp -an
ip neigh
通信できない端末とできる端末で、
同一IPに対するMACが一致しているか
を確認します。
対処
- ARPキャッシュ削除
- ネットワークIF再起動
解決判断
ARP解決が安定し、再発しない
MACテーブルを疑う場合の確認手順
確認
- MACアドレスが学習されているポート
- 想定ポートと一致しているか
対処
- 該当ポートのリンクダウン/アップ
- MACテーブルクリア
解決判断
MACが正しいポートに学習され、安定
両方が絡むケースもある
構成変更直後などでは、
- ARPも古い
- MACテーブルも古い
という
「二重に詰んだ状態」
になることもあります。
この場合は、
- ARP → MACの順で整理
するのがセオリーです。
「直った」と言える判断基準
- 端末再起動に依存しない
- 時間経過で再発しない
- 構成変更後も安定
一時的に通信できても、
この条件を満たさなければ未解決
です。
まとめ
- ARPはIPとMACの対応
- MACテーブルはMACとポートの対応
- 影響範囲で切り分ける
L2障害は、
混同をやめた瞬間に一気に見えるようになります。
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