ネットワーク構成変更後や配線変更後に、
「なぜか時間が経つと通信が直る」
という現象を経験したことはないでしょうか。
この原因として非常に多いのが、
スイッチのMACアドレステーブルのエージング
です。
しかし、
- MACアドレステーブルとは何か
- エージングで何が起きているのか
- なぜ通信断や遅延につながるのか
を正しく理解している人は意外と多くありません。
本記事では、L2トラブルを確実に切り分けられる理解を目的に、
- MACアドレステーブルの仕組み
- エージングの正体
- 実際の障害パターン
- 確認・解決の判断基準
を実務視点で整理します。
目次
MACアドレステーブルとは何か
スイッチは通信を効率化するために、
- MACアドレス
- 接続ポート
の対応関係を内部テーブルとして保持しています。
これが MACアドレステーブル(CAMテーブル) です。
スイッチはフレームを受信すると、
- 送信元MACアドレス
- 受信ポート
を学習し、以後はそのMAC宛の通信を
正しいポートにだけ転送
するようになります。
エージングとは何か
MACアドレステーブルは永久に保持されるわけではありません。
一定時間通信がないMACアドレスは、
「もう存在しないかもしれない」
として削除されます。
この仕組みが エージング(aging) です。
一般的なエージング時間は、
- 300秒(5分)
前後に設定されていることが多く、
その時間内に通信があればタイマーはリセットされます。
なぜエージングが通信トラブルを引き起こすのか
① 構成変更後も古いポート情報が残る
例えば、
- 端末を別ポートへ差し替え
- スイッチ構成変更
を行った場合でも、スイッチは
古いポート情報を即座に捨てません。
その結果、
- 通信が誤ったポートへ転送
- フレームが届かない
という状態になります。
② 時間が経つと自然復旧する理由
エージング時間が経過すると、
- 古いMACエントリが削除
- 新しいポートで再学習
されるため、通信が復旧します。
これが
「放置していたら直った」現象の正体
です。
よくある障害パターン
- 一部端末だけ通信できない
- 特定ポート配下だけ不安定
- 構成変更直後だけ通信不可
これらはすべて、
MACアドレステーブルの不整合
で説明がつきます。
確認すべきポイント
スイッチ側
- MACアドレステーブルの内容
- MACがどのポートに紐づいているか
端末側
- リンクアップ状態
- IP / ARP 情報
通信できる端末とできない端末で、
MACの学習ポートが違っていないか
を見るのが重要です。
対処方法と正しい判断基準
一時的な対処
- ポートのリンクダウン/アップ
- MACテーブルのクリア
恒久対策
- 構成変更時の影響範囲把握
- 冗長構成・LAG設計の見直し
解決と判断できる状態
- MACが正しいポートに学習されている
- 時間経過に依存せず通信が安定
エージングを「理解して使う」ことが重要
MACアドレステーブルのエージングは、
- 不要な情報を自動で整理
- ネットワークを柔軟に保つ
ための正常な仕組みです。
しかし理解せずに構成変更を行うと、
「原因不明の通信断」
として表面化します。
まとめ
- MACアドレステーブルはポートを記憶する
- エージングは期限付き情報の削除
- 時間で直る障害は再発する
L2トラブルは、
仕組みを理解すれば「見える障害」になります。
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