UDPとTCPでFW挙動が違う理由【ステート管理・セッション・実務トラブルの本質】

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「TCPは通るのに、UDPだけ通らない」
「同じFWルールなのに挙動が違う」

これはFWの不具合ではなく、TCPとUDPの設計思想の違いが原因です。

本記事では、
FWがTCPとUDPをどう扱っているのか を内部動作レベルで解説し、 なぜUDP通信は壊れやすいのか を実務目線で整理します。

目次

結論:FWはTCPとUDPを「同じ通信」として見ていない

FWはプロトコルごとに、
チェック方法・セッション管理・破棄条件 を変えています。

項目TCPUDP
コネクションあり(3-way handshake)なし
セッション確立判断SYN/SYN-ACK/ACKパケット到達のみ
FWでの状態管理詳細簡易
壊れやすさ低い高い

FWにおけるTCP通信の扱い

① ステートフル検査が前提

TCPでは、FWは以下を必ず確認します。

  • SYNが来たか
  • SYN-ACKが戻ったか
  • ACKで確立したか

このためFWは「正当な通信かどうか」を高精度で判断できます。

② セッションが安定しやすい理由

  • 通信開始・終了が明確
  • 再送制御あり
  • RST/FINで終了検知

FWにとってTCPは非常に扱いやすい通信です。

FWにおけるUDP通信の扱い

① 「通信開始」という概念がない

UDPにはSYNもACKもありません。

FWは以下のように処理します。

  • UDPパケットを見た瞬間に「仮セッション」を作る
  • 一定時間で破棄

② タイムアウト依存が非常に強い

UDPセッションは通信が止まった瞬間に消えるため、

  • 応答が遅い
  • 間欠通信

これだけで通信断が発生します。

実務で起きる「挙動の違い」具体例

例① TCPはOK、UDPはNG

  • TCP:セッション維持 → 通信継続
  • UDP:タイムアウト → 戻り通信破棄

例② FWログに何も出ない

UDPはdenyされる前に破棄されるケースが多く、 ログに残らないことがあります。

NAT環境での違い(特に重要)

TCPのNAT

  • セッションと強く紐づく
  • 戻り通信を識別しやすい

UDPのNAT

  • 短時間でNATエントリ消失
  • 戻り通信が不正扱いされやすい

UDP+NAT+FW は 実務で最もトラブルが多い組み合わせです。

QoS・MTUが与える影響の違い

TCPの場合

  • 再送で回復
  • ウィンドウ制御で適応

UDPの場合

  • ドロップ=即通信品質低下
  • フラグメント破棄で完全断

FW通過後の品質差も大きく異なります。

実務での切り分け観点(TCPとUDPで変える)

TCPトラブル時

  • 3-way handshake確認
  • RST/FINの有無
  • ウィンドウサイズ

UDPトラブル時

  • FWセッション存在時間
  • タイムアウト値
  • MTU・フラグメント
  • 非対称ルーティング

まとめ

  • FWはTCPとUDPを別物として扱う
  • UDPは状態管理が弱く壊れやすい
  • ログに出ない=正常ではない

「TCPは通るのにUDPが通らない」 のは、 設計上ごく自然な現象です。

UDP通信では、 FWの中で何が起きているかを想像できるか が トラブル解決の分かれ道になります。

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