VLAN 設計はネットワークの性能、セキュリティ、運用性を大きく左右します。この記事では、VLAN をどのように分割すべきか、セキュリティを高めるには何が必要か、運用を最適化する方法は何かを実務ベースで解説します。
VLAN 設計が重要な理由
VLAN はネットワークを論理的に分割する技術であり、適切な設計によって次のようなメリットを得られます。
- セキュリティの向上(不要なブロードキャストの制御、通信制限)
- 運用性の向上(用途ごとにネットワークを整理)
- トラブルシューティングの効率化
- 性能の最適化(ブロードキャストドメインの縮小)
VLAN の分割方法のベストプラクティス
1. 用途ベースで VLAN を分割する
最も一般的で管理しやすい方法は「用途別 VLAN」の採用です。
- サーバ VLAN
- クライアント PC VLAN
- 管理 VLAN
- 無線 LAN VLAN(社員 / ゲスト分離)
- IP 電話用 VLAN
用途ごとにトラフィックの性質が異なるため、運用やセキュリティが明確になります。
2. セキュリティ要件に応じた VLAN 分割
機密度が異なるネットワークは VLAN を分けて管理します。
- 開発環境と本番環境を分離
- 外部委託向け VLAN を分離してアクセス制御
- 監視カメラ VLAN など IoT 系の完全分離
3. ブロードキャストドメインのサイズを制御する
1つの VLAN に端末を詰め込みすぎるとブロードキャストが増え、性能低下の原因になります。
目安として 100 ~ 300 台程度に収まるように設計すると安定します。
4. L3 スイッチで VLAN 間ルーティングを行う
VLAN を分割すると VLAN 間通信が必要になりますが、コアのレイヤ 3 スイッチでルーティングを行うのが一般的です。これにより高速な転送が可能になり、ルータを経由する場合よりも遅延を抑えられます。
VLAN の番号・命名のベストプラクティス
1. VLAN ID の体系化
管理しやすいよう、一定のルールで番号を決めます。
- 100 番台:サーバ
- 200 番台:クライアント
- 300 番台:無線
- 400 番台:管理
番号に意味を持たせることで、運用フェーズでの負担が大きく軽減します。
2. VLAN 名の統一ルール
名称は短く、用途が分かるようにします。
Server-NW Client-Office WiFi-Employee WiFi-Guest Mgmt-NW
VLAN トランキングとポート設定のベストプラクティス
1. トランクポートは必要な VLAN のみ許可する
すべての VLAN をトランクに流すとセキュリティリスクが上がります。
使う VLAN のみ許可(allowed VLAN)を設定するのが基本です。
2. アクセスポートは必ず明示的に VLAN を設定する
未設定のポートを放置するとセキュリティリスクが高まります。
3. ネイティブ VLAN は使用しない、または固定する
ネイティブ VLAN の悪用(VLAN hopping)を防ぐために以下を徹底します。
- ネイティブ VLAN を使わない(すべてタグ付き)
- 使用する場合は管理 VLAN と切り離す
VLAN とセキュリティのベストプラクティス
1. ACL で VLAN 間通信を制御する
VLAN を分けても ACL を設定しなければ通信できます。機密度に応じて許可・拒否ルールを作ることが重要です。
2. DHCP Snooping / Dynamic ARP Inspection を有効化する
VLAN を分けるだけでは十分ではありません。L2 攻撃対策の有効化が効果的です。
3. 監視 VLAN や IoT VLAN は完全分離する
監視カメラや IoT 機器は脆弱であることが多いため、専用 VLAN でインターネット以外との通信を制限します。
VLAN 運用面のベストプラクティス
1. 配線図・VLAN 対応表を常に更新する
番号や用途が複雑になるほど情報管理が重要です。
2. コア / アクセスで設定を標準化する
スイッチごとに設定が異なると運用負荷が増えます。テンプレート化しておくと効率的です。
3. VLAN 追加時は影響範囲を明確にする
新しい VLAN を作る際には、
- ルーティング設定
- ACL / FW 設定
- DHCP 範囲
- トランクの許可 VLAN 追加
などが必要になります。
まとめ
VLAN 設計を最適化することで、セキュリティ、性能、運用性が大きく向上します。用途別の分割、ID の体系化、ACL による制御、L2 セキュリティ機能の活用などを組み合わせ、運用しやすい構成を作ることがポイントです。


