Linuxサーバでストレージを冗長化するために マルチパス(Multipath)構成を組んだにもかかわらず、
- パスが1本しか使われない
- multipath -ll に何も表示されない
- 障害時に自動で切り替わらない
といった問題に遭遇することは珍しくありません。
本記事では、 Linuxでマルチパス構成が正しく機能しない代表的な原因と、 初心者でも判断・解決できる具体的な対処方法を解説します。
目次
結論:マルチパスは「設定しただけ」では動かない
Linuxのマルチパス構成が機能しない原因の多くは、 OS・ストレージ・サービス設定のどれかが欠けていることです。
マルチパスが正しく動作するには、以下がすべて揃っている必要があります。
- OSがマルチパスデバイスを認識している
- multipathd サービスが起動している
- ストレージ側が複数パスを提供している
- ブラックリスト設定で除外されていない
マルチパス構成が機能しない主な原因一覧
- multipathd サービスが起動していない
- マルチパス対象デバイスがブラックリストされている
- ストレージ側で複数パスが提供されていない
- デバイスがOSに正しく認識されていない
- 設定反映後に再読み込みがされていない
原因①:multipathd サービスが起動していない
Linuxのマルチパスは、 multipathd(デーモン)が常駐して初めて機能します。
パッケージをインストールしただけでは、 サービスは動作しません。
確認方法
systemctl status multipathd
以下の状態であれば問題があります。
- inactive
- dead
- not found
対処方法
systemctl start multipathd
systemctl enable multipathd
解決した状態
- multipathd が active (running)
- multipath -ll でデバイスが表示される
原因②:マルチパス対象デバイスがブラックリストされている
Linuxでは、 意図しないディスクをマルチパス対象にしないため、 デフォルトで多くのデバイスが除外されています。
この設定により、 正しいストレージなのにマルチパス化されない ケースがあります。
確認ポイント
- /etc/multipath.conf の blacklist 設定
- vendor / product 名が除外されていないか
対処方法(例)
blacklist {
devnode "^sd[a]"
}
または、 whitelist(例外許可)を明示的に設定します。
解決した状態
- multipath -ll に対象LUNが表示される
- 複数の path が1つの map にまとまっている
原因③:ストレージ側で複数パスが提供されていない
Linux側の問題に見えて、 実はストレージ側設定が原因というケースも多くあります。
よくある例
- 片側のHBAやiSCSI経路が未設定
- ゾーニングが片系のみ
- iSCSIログインが1セッションだけ
確認方法
lsblk
lsscsi
同じLUNが複数見えていなければ、 マルチパスは成立しません。
解決した状態
- 同一LUNが複数デバイスとして認識される
- multipath -ll で active path が複数表示される
原因④:デバイスがOSに正しく認識されていない
ストレージを接続しただけでは、 Linuxが即座に認識しないことがあります。
対処方法
- SCSI再スキャン
- multipath 再読み込み
echo "- - -" > /sys/class/scsi_host/hostX/scan
multipath -r
解決した状態
- 新しいデバイスが /dev/mapper/ 配下に作成される
原因⑤:設定変更後に再読み込みされていない
multipath.conf を編集しても、 再読み込みしなければ反映されません。
対処方法
systemctl reload multipathd
multipath -r
解決した状態
- 設定変更が反映される
- 不要な single path デバイスが消える
実務向けチェックリスト
- multipathd は起動しているか
- multipath -ll に何か表示されるか
- 同一LUNが複数パスで見えているか
- ブラックリストに引っかかっていないか
- 設定変更後に reload しているか
まとめ
Linuxのマルチパス構成が機能しない原因の多くは、 「設定したつもり」になっていることです。
マルチパスは、
- ストレージが複数パスを提供
- OSがそれを正しく認識
- multipathd が制御
という流れが揃って初めて成立します。
本記事の確認項目を順にチェックすれば、 切り分けと復旧が比較的容易に可能です。
