Docker ホストとコンテナ間でファイル共有できないときの対処

はじめに

Docker ではホストとコンテナの間でファイルを共有するために ボリュームマウント や バインドマウント を利用します。
しかし、設定や権限の問題で「ファイルが見えない」「書き込みできない」などのトラブルが起こりがちです。

本記事では、確認手順ごとに 正常例／異常例／それに対応する解決方法 をセットで解説します。

主な原因

• マウント指定の誤り（-v や --mount の書き方違い）
• ホスト側ディレクトリ未作成
• 権限不足（UID/GID の不一致、root 権限必要）
• SELinux/AppArmor による制御
• read-only オプションの影響

確認と解決の手順

1. コンテナにマウントされているか確認

docker inspect コンテナ名 | grep Mounts -A 5

• 正常例

"Mounts": [
  {
    "Type": "bind",
    "Source": "/home/user/share",
    "Destination": "/data"
  }
]

👉 Source と Destination が表示されていれば OK。

• 異常例

"Mounts": []

👉 マウントされていない。

解決方法
マウント指定を修正：

docker run -v /home/user/share:/data myimage
# または
docker run --mount type=bind,source=/home/user/share,target=/data myimage

2. ホスト側ディレクトリの存在確認

ls -ld /home/user/share

• 正常例

drwxr-xr-x  2 user user 4096 Sep 27 10:00 /home/user/share

👉 ディレクトリが存在し、権限も付与されている。

• 異常例

ls: cannot access '/home/user/share': No such file or directory

👉 ディレクトリが存在しない。

解決方法
ホスト側に作成：

mkdir -p /home/user/share
chmod 755 /home/user/share

3. コンテナ内でのマウント状況確認

docker exec -it コンテナ名 ls -ld /data

• 正常例

drwxr-xr-x  2 user user 4096 Sep 27 10:00 /data

👉 ホストの /home/user/share と一致。

• 異常例

drwxr-xr-x  2 root root 4096 Sep 27 10:05 /data

👉 空のディレクトリが生成されている。

解決方法

• パスの誤りがないか確認→ 1.コンテナにマウントされているか確認へ
• ホスト側未作成の場合→ 2.ホスト側ディレクトリの存在確認へ

4. 書き込みテスト

docker exec -it コンテナ名 touch /data/test.txt

• 成功例

# ホストで確認
ls /home/user/share/test.txt
test.txt

👉 双方向で共有できている。

• 失敗例

touch: cannot touch '/data/test.txt': Permission denied

👉 権限またはセキュリティ設定が原因。

解決方法

• UID/GID を合わせる

sudo chown -R 1000:1000 /home/user/share

• SELinux 有効環境ではオプションを追加

docker run -v /home/user/share:/data:Z myimage

• read-only 指定されていないか確認（:rw を付与）

再発防止のポイント

• docker inspect でマウント状況を必ず確認する
• ホスト側ディレクトリは事前に作成する
• コンテナ内ユーザーとホストの UID/GID を揃える
• SELinux/AppArmor の影響を理解して :z / :Z を適切に利用する

まとめ

• 「どこで問題が起きているか」 を順番に切り分けるのが重要
• docker inspect → ls -ld → exec ls → touch の流れで確認すると効率的
• 出力が異常だった場合、本文中の対応策を選んで修正すればほとんどのケースで解決できる