Linuxシステムの管理には、主にsystemdとinitという2つの重要なコンポーネントがあります。
これらは、システムの起動プロセスやサービス管理を担う役割を果たしますが、
それぞれ異なる設計思想と機能を持っています。
この記事では、systemdとinitの基本的な違いや、それぞれの概念について詳しく解説します。
目次
initとは?
initは、Unix系のオペレーティングシステムで最初に実行されるプロセスで、プロセスID 1(PID 1)を持っています。initの役割は、システムの起動時に必要なすべてのサービスやプロセスを順次起動することです。
伝統的に、initはスクリプトベースの設定ファイルを使用し、システムの状態に応じたプロセスを管理します。
initの特徴
- スクリプトベース:
initは、/etc/inittabや各種スクリプト(通常は/etc/rc.d以下)を用いてプロセスを管理します。 - 順次実行: 各サービスを直列に実行するため、起動時間が長くなることがあります。
- 基本的な機能: サービスの起動や停止、再起動が可能ですが、依存関係の管理はあまり強力ではありません。
systemdとは?
systemdは、Linuxの新しいinitシステムであり、従来のinitに代わって主に使用されています。systemdは、並行処理、依存関係管理、ログ機能を組み込むことで、
より効率的にサービスを管理できるように設計されています。
systemdの特徴
- ユニット管理: サービス、ソケット、デバイスなどを「ユニット」として管理し、設定ファイルは
/etc/systemd/system/にあります。 - 並行処理: 複数のサービスを同時に起動できるため、システムの起動が迅速になります。
- 依存関係管理: サービス間の依存関係を明示的に管理でき、必要なサービスが先に起動するように設定できます。
- ログ機能:
journalctlを使用して、リアルタイムのログ管理やトラブルシューティングが容易に行えます。
systemdとinitの違い
1. 起動方式
initはスクリプトベースで直列にサービスを起動しますが、systemdはユニットを並行に処理し、起動を効率化します。
2. 依存関係の管理
initでは依存関係の管理が不十分で、手動での調整が必要な場合が多いですが、systemdは自動的に依存関係を解決します。
3. ログ管理
initでは別途ログ管理ツールを使用する必要がありますが、systemdは内蔵のjournalctlでログを管理します。
4. サービスの設定
initの設定は主にシェルスクリプトですが、systemdは.serviceファイルを使用してサービスの構成を行います。
まとめ
systemdとinitは、Linuxシステムの起動時に最初に実行されるプログラムです。- 主な違いは、
systemdが新しい技術であり、効率的なサービス管理と依存関係の解決が可能であるのに対し、initは古い技術であり、スクリプトベースで直列処理されます。 - 現在、ほとんどのLinuxディストリビューションで
systemdが主流です。
これからLinuxを学ぶ方や、システム管理を行う方にとって、
これらの概念を理解することは非常に重要です。
初めのうちは想像がしづらくわかりにくい概念ですが、
ざっくりとした考え方だけでも押さえておきましょう。
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