Linuxでマルチパス構成を組んだあと、 「本当に正しく冗長化されているのか?」 を確認せずに運用してしまうのは非常に危険です。
マルチパスは設定しただけでは意味がなく、 正しく動作しているかを確認して初めて完了となります。
本記事では、 multipath -ll の出力をどう見ればよいのかを軸に、 正常・異常の判断基準と 問題がある場合の切り分けポイントを解説します。
目次
結論:multipath -ll がすべての判断基準になる
Linuxのマルチパス構成が正しく機能しているかどうかは、 multipath -ll の出力を見るだけで判断可能です。
以下の条件を満たしていれば、 マルチパスは正常に動作していると判断できます。
- /dev/mapper/mpathX が作成されている
- 同一LUNに対して複数の path が存在する
- path の state が active ready running になっている
まず実行するコマンド
multipath -ll
このコマンドは、 現在のマルチパス構成の全状態を一覧表示します。
multipath -ll の基本構造
典型的な出力例を見てみます。
mpathb (3600508b400105e210000900000490000) dm-2 IBM,2145
size=100G features='1 queue_if_no_path' hwhandler='0' wp=rw
|-+- policy='round-robin 0' prio=50 status=active
| |- 3:0:0:1 sdb 8:16 active ready running
| `- 4:0:0:1 sdc 8:32 active ready running
この出力は、上から順に意味があります。
① マルチパスデバイス名(mpathX)
mpathb (3600...)
ここで表示される mpathb が、 OSが使用すべき正しいデバイスです。
- ファイルシステム作成
- マウント
- LVM作成
は必ず /dev/mapper/mpathX に対して行います。
判断基準
- 表示されていれば OK
- 表示されなければ マルチパス未構成
② WWID(ワールドワイドID)
(3600508b400105e210000900000490000)
これはストレージ側で割り当てられる 一意の識別子です。
複数の物理パスが、 同一LUNであることをOSが判断する根拠になります。
判断基準
- 同じWWIDに複数パス → 正常
- WWIDが分かれている → マルチパス不成立
③ policy(パス選択方式)
policy='round-robin 0'
これは、 どのパスをどう使うかを決める設定です。
代表的な値
- round-robin:全パスを均等使用(一般的)
- failover:通常は1本、障害時に切替
判断基準
- 意図したポリシーになっていれば OK
- 想定外なら multipath.conf を確認
④ path(個々の物理経路)の状態
sdb 8:16 active ready running
この1行が、 1本の物理パスを表しています。
各項目の意味
- active:現在使用可能
- ready:I/O受付可能
- running:正常動作中
判断基準(重要)
- active ready running → 正常
- failed / faulty → 障害あり
- 1本しか表示されない → 冗長化されていない
正常なマルチパス構成の判断チェックリスト
以下をすべて満たしていれば、 マルチパスは正しく機能しています。
- multipath -ll に mpathX が表示される
- 同一LUNに対して path が2本以上ある
- path が active ready running
- /dev/mapper/mpathX を使用している
よくあるNGパターンと判断方法
① multipath -ll に何も表示されない
- multipathd が起動していない
- ブラックリストに該当している
② path が1本しかない
- ストレージ側で複数経路が未設定
- iSCSI / FC の片系のみ接続
③ active にならない path がある
- ケーブル・ネットワーク断
- ゾーニング不備
まとめ
Linuxのマルチパス構成は、 multipath -ll を正しく読めるかどうかで 安全性が大きく変わります。
設定が正しいか不安な場合は、 まず multipath -ll を確認し、
- mpathX があるか
- path が複数あるか
- state が正常か
をチェックしてください。
これができれば、 マルチパス構成の確認は合格レベルです。
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