この記事でわかること
この記事では、AIが力を発揮する問題の特徴と、AIを使うべきではない問題の違いを明確にします。 単に「AIはすごい」「AIなら何でもできる」という誤解を正し、どのような業務・課題にAIを適用すべきか、 また従来のルールベースや人手で対応すべきケースは何かを理解できるようになります。 これはAzure AI-900試験において頻出の「AIワークロード選定問題」を解くための基礎知識でもあります。
結論:AIは「判断が曖昧でパターンが多い問題」に向いている
まず結論から述べると、AIが向いているのは明確なルールで書き切れないが、過去データから傾向を学べる問題です。 一方で、条件分岐が明確で例外が少ない処理は、AIではなく従来のプログラムの方が適しています。
AIが向いている問題の特徴
① 正解が一つに決まらない問題
AIは「必ずこの答えが正解」という問題よりも、「状況に応じて複数の答えが考えられる問題」を得意とします。 例えば文章の要約、画像の分類、音声の文字起こしなどは、多少の揺らぎが許容されるためAIに適しています。
② 大量のデータから傾向を見つける問題
人間が目視や手作業で分析するには量が多すぎるデータでも、AIは高速に処理できます。 売上予測、不正検知、需要予測などは典型的なAI向きのタスクです。
③ 人の感覚に近い判断が必要な問題
画像認識・音声認識・自然言語処理など、人間の五感に近い処理は深層学習を用いたAIが非常に強みを発揮します。
④ 判断基準を明文化しづらい問題
「なんとなく怪しい」「違和感がある」といった感覚的な判断はルール化が困難ですが、 AIは過去データからその傾向を学習することで再現できます。
AIが向いていない問題の特徴
① 明確なルールで完全に表現できる問題
税率計算、日付計算、定型的な条件分岐などは、AIを使うまでもなく通常のプログラムで十分です。 このような処理にAIを使うと、かえって不安定になります。
② データがほとんど存在しない問題
AIはデータから学習するため、過去データが極端に少ない場合や一度しか起きない事象には向きません。
③ 結果の完全な正確性が求められる問題
医療診断の最終判断や法的な決定など、100%の正確性が求められる領域では、 AIは「補助」として使われるべきで、単独での判断は適していません。
④ なぜその判断をしたか説明が必須な問題
AI、特に深層学習や生成AIは「ブラックボックス」になりやすく、 判断根拠を完全に説明できない場合があります。
AI-900試験での重要な出題視点
AI-900では、「この課題に最適なソリューションはどれか?」という形式で出題されることが多く、 必ずしもAIが正解になるとは限りません。
例えば以下のような場合です。
要件: ・入力条件が明確 ・結果は常に同じ ・例外はほぼ存在しない
この場合、正解はAIではなくルールベースのプログラムになります。
AI向き/不向きの比較まとめ
| 観点 | AI向き | AI不向き |
|---|---|---|
| 正解 | 複数あり得る | 1つに決まる |
| データ量 | 大量にある | ほぼない |
| ルール化 | 困難 | 容易 |
まとめ
AIは万能ではありませんが、適切な問題に適用すれば非常に強力なツールになります。 AI-900試験では「AIを使うべきかどうかを判断できるか」が重要視されます。
「AIを使わない判断ができることも、AIを理解している証拠」です。 この視点を持つことで、試験対策だけでなく実務でも失敗しないAI導入が可能になります。
