【VPC基礎②】インターネットゲートウェイ(IGW)とNAT Gatewayの違い

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前回の記事では、Amazon VPC・CIDR・サブネット・ルートテーブルの基本について解説しました。

今回は、VPCからインターネットへ通信するときに重要となるインターネットゲートウェイ(Internet Gateway:IGW)NAT Gatewayについて解説します。

どちらもインターネット通信に関係するため、AWSを学び始めたばかりの方は「IGWとNAT Gatewayは何が違うの?」と混乱しやすいポイントです。

先に結論をまとめると、次のように考えると分かりやすいでしょう。

Internet Gateway(IGW)
VPCとインターネットを接続するためのゲートウェイ

NAT Gateway
プライベートなリソースから外部へ通信させるために利用するNATサービス

SAA(AWS Certified Solutions Architect – Associate)では、IGWとNAT Gatewayを単純に暗記するのではなく、ルートテーブルと組み合わせて通信経路を判断できることが重要です。

目次

📚 SAA試験対策ボックス

試験頻出度★★★★★
重要度★★★★★
関連分野VPC / サブネット / ルートテーブル / インターネット接続 / 高可用性
重要キーワードInternet Gateway / NAT Gateway / Elastic IP / 0.0.0.0/0 / Public NAT Gateway

この記事で覚えること

  • IGWはVPCとインターネットを接続する
  • IGWをVPCへアタッチしただけでは通信できない
  • ルートテーブルにIGWへのルートが必要
  • NAT Gatewayは主に外向き通信に利用する
  • Public NAT Gatewayを利用したインターネット通信ではIGWも必要
  • IGWとNAT Gatewayは役割が異なる

インターネットゲートウェイ(IGW)とは?

Internet Gateway(インターネットゲートウェイ:IGW)は、Amazon VPCとインターネットとの間の通信を可能にするVPCコンポーネントです。

VPCを作成しただけでは、そのVPCが自動的にインターネットへ接続されるわけではありません。

インターネットへ直接接続させたい場合は、VPCへInternet Gatewayをアタッチし、ルートテーブルに適切なルートを設定します。

重要

Internet Gatewayを作成してVPCへアタッチしただけでは、EC2がインターネットへ接続できるとは限りません。

ルートテーブル・IPアドレス・セキュリティ設定など、複数の条件を満たす必要があります。

Internet GatewayはVPCにアタッチする

Internet Gatewayは、EC2インスタンスやサブネットへ直接アタッチするものではありません。

VPCにアタッチして利用します。


Internet
    │
    │
Internet Gateway
    │
    │
   VPC
    │
    └── Subnet
          │
          └── EC2

このため、Internet Gatewayは「VPCとインターネットをつなぐ出入口」と考えると理解しやすいでしょう。

IGWをアタッチしただけではインターネット通信できない

AWS初心者が特に間違えやすいポイントです。

VPCへInternet Gatewayをアタッチしたとしても、それだけではサブネット内のEC2からインターネットへ通信できません。

ルートテーブルにも、インターネット向けの通信をInternet Gatewayへ転送するルートが必要です。

IPv4の場合、代表的なルートは次のとおりです。

DestinationTarget
10.0.0.0/16local
0.0.0.0/0igw-xxxxxxxx

0.0.0.0/0は、すべてのIPv4アドレスを表します。

したがって、


0.0.0.0/0 → Internet Gateway

というルートは、より具体的な別ルートに一致しなかったIPv4通信をInternet Gatewayへ送るという意味になります。

📘 SAA試験ポイント

「EC2からインターネットへ接続できない」という問題では、Internet Gatewayの有無だけでなく、ルートテーブルに0.0.0.0/0 → IGWが設定されているかも確認しましょう。

EC2からIGW経由でインターネット通信する条件

IPv4を利用してEC2からInternet Gateway経由でインターネットへ通信する場合、代表的には次の要素を確認します。

  • VPCへInternet Gatewayがアタッチされている
  • サブネットのルートテーブルにIGWへのルートが存在する
  • EC2がパブリックIPv4アドレスまたはElastic IPを利用している
  • セキュリティグループなどで必要な通信が許可されている

つまり、「サブネットにIGWがある」という考え方ではなく、


サブネット
   ↓
ルートテーブル
   ↓
Internet Gateway
   ↓
インターネット

という通信経路を考えることが重要です。

Internet Gatewayは高可用なマネージドコンポーネント

Internet GatewayはAWSが管理するVPCコンポーネントです。

利用者がEC2のように複数台のInternet Gatewayを構築してロードバランシングしたり、冗長化のために自分でフェイルオーバーを設定したりする必要はありません。

AWS側で水平スケール・冗長化・高可用性が提供されています。

💼 実務ではこう考える

Internet Gatewayそのものについて「AZ障害に備えてAZごとにIGWを作る」という設計は行いません。

IGWはVPCレベルのコンポーネントとして利用します。

NATとは?

NAT Gatewayを理解する前に、まずNATについて簡単に確認しておきましょう。

NAT(Network Address Translation)は、IPアドレスを変換して通信する仕組みです。

例えば、プライベートIPv4アドレスを持つEC2がインターネット上のWebサイトへアクセスするとき、そのプライベートアドレスをそのままインターネット上で利用することはできません。

そこでNATによってアドレスを変換し、外部ネットワークと通信します。

NAT Gatewayとは?

NAT Gatewayは、AWSが提供するマネージド型のNetwork Address Translationサービスです。

代表的な利用目的は、外部から直接接続させたくないEC2などから、インターネットへ外向き通信を行わせることです。

例えば、アプリケーションサーバーを外部から直接アクセスできないネットワークへ配置したとしても、OSアップデートや外部APIへの通信などでインターネット接続が必要になる場合があります。

このような場面でPublic NAT Gatewayを利用できます。

Public NAT Gatewayを使ったインターネット通信の流れ

Public NAT Gatewayを利用してEC2からインターネットへ通信する場合、基本的な流れは次のようになります。


EC2
 ↓
Private側のルートテーブル
 ↓
NAT Gateway
 ↓
Internet Gateway
 ↓
Internet

ここで重要なのが、NAT Gatewayだけで直接インターネットへ出ているわけではないという点です。

Public NAT Gatewayからインターネットへ到達するには、最終的にVPCのInternet Gatewayを経由します。

📘 SAA試験ポイント

Public NAT Gatewayを利用したIPv4インターネット通信では、


EC2 → NAT Gateway → Internet Gateway → Internet

という経路を覚えておきましょう。

NAT Gatewayはインターネットからの新規接続を受けるためのものではない

NAT Gatewayを利用すると、EC2などから外部へ接続し、その応答通信を受信できます。

一方、インターネット上の第三者がNAT Gatewayを経由して、その背後にあるEC2へ勝手に新しい接続を開始する用途には利用できません。

そのため、

  • インターネットからWebサーバーへアクセスさせたい
  • 外部からSSH接続させたい

といった目的でNAT Gatewayを利用するわけではありません。

覚え方

IGW:インターネットとの接続口

NAT Gateway:内側から外へ出ていくためのアドレス変換

Public NAT GatewayではElastic IPを利用する

Public NAT Gatewayを作成する場合、Elastic IPアドレスを関連付けます。

これにより、NAT Gatewayを経由するインターネット向けIPv4通信では、外部から見る送信元IPアドレスをNAT Gateway側のパブリックIPアドレスとして扱うことができます。

この特徴は、外部サービス側で送信元IPアドレスをホワイトリスト登録する場合にも利用できます。

💼 実務ではこう使う

外部SaaSや取引先システムから「接続元のグローバルIPアドレスを固定してください」と要求された場合、Public NAT GatewayのElastic IPを許可リストへ登録する構成を採用することがあります。

ルートテーブルはどう設定する?

Public NAT Gatewayを利用する場合、EC2側のルートテーブルでは、インターネット向け通信をNAT Gatewayへ送ります。

DestinationTarget
10.0.0.0/16local
0.0.0.0/0nat-xxxxxxxx

一方、Public NAT Gatewayからインターネットへ出るためには、NAT Gatewayが利用するネットワーク側にInternet Gatewayへの経路が必要です。

このため、典型的な構成は次のようになります。


EC2
│
│ 0.0.0.0/0
▼
NAT Gateway
│
│ 0.0.0.0/0
▼
Internet Gateway
│
▼
Internet

IGWとNAT Gatewayの違い

比較項目Internet GatewayPublic NAT Gateway
主な役割VPCとインターネットを接続NATを行い外部通信を実現
配置・関連付けVPCへアタッチVPC内で作成
外部から新規接続構成次第で可能NAT配下のリソースへの未承諾の新規接続は不可
Elastic IPIGW自体には不要Public NAT Gatewayでは利用
主な利用対象インターネットへ直接接続するリソース直接公開せず外向き通信だけ必要なリソース
インターネット接続時のIGWIGW自身を利用Public NAT Gatewayでは最終的にIGWを利用

IGWとNAT Gatewayは競合するサービスではない

IGWとNAT Gatewayを「どちらか一方を選択するサービス」と考えると混乱しやすくなります。

実際には、Public NAT Gatewayを利用してインターネットへ接続する構成では、IGWとNAT Gatewayの両方を組み合わせます。

それぞれの役割を分けて考えてください。

NAT Gateway
プライベートIPv4アドレスを持つリソースの通信を変換する

Internet Gateway
VPCとインターネットの間を接続する

NAT GatewayとNAT Instanceの違い

AWSには、NAT Gatewayとは別にNAT Instanceという構成もあります。

NAT Instanceは、EC2インスタンスへNAT機能を持たせて利用する方式です。

比較項目NAT GatewayNAT Instance
提供方式AWSマネージドEC2
OS管理不要必要
パッチ管理不要必要
スケーリングAWS側で提供利用者が設計
一般的な推奨特別な要件がある場合

AWSでは、一般的なNAT用途ではNAT InstanceよりNAT Gatewayの利用が推奨されています。

📘 SAA試験ポイント

「運用負荷を最小化しながらNATを実現したい」という問題では、通常はAWSマネージドサービスであるNAT Gatewayが有力な選択肢になります。

NAT GatewayにはPublicとPrivateがある

NAT Gatewayには、接続タイプとして大きくPublic NAT GatewayPrivate NAT Gatewayがあります。

種類主な用途
Public NAT Gatewayインターネットなどへの外向き通信
Private NAT Gateway他VPCやオンプレミスなど、プライベートネットワーク間でのNAT

SAAの基礎学習では、まずPublic NAT Gatewayを利用したインターネット向け通信を理解しておけばよいでしょう。

NAT GatewayとAZの関係

従来から広く利用されているゾーナルNAT Gatewayは、特定のアベイラビリティーゾーンに配置され、そのAZ内で冗長化されます。

複数AZのワークロードで高い耐障害性を求める場合は、各AZから同一AZ側のNAT Gatewayを利用する構成が基本となります。


AZ-a
Private Subnet-A
      │
      ▼
NAT Gateway-A


AZ-c
Private Subnet-C
      │
      ▼
NAT Gateway-C

これにより、特定AZ側の障害によって他のAZまでインターネット接続を失うリスクを抑えられます。

2026年時点の補足

AWSでは、複数AZへのカバレッジを自動的に管理できるRegional NAT Gatewayも提供されています。

従来型のゾーナルNAT Gatewayを前提とした問題では「AZごとにNAT Gateway」という考え方が重要ですが、現在は要件に応じてRegional NAT Gatewayも選択肢になります。

IPv6ではどうする?

ここまで主にIPv4について説明しました。

IPv6では、インターネット向けのアウトバウンド通信を許可しつつ、インターネット側から新規接続を開始させたくない場合、Egress-only Internet GatewayというVPCコンポーネントがあります。

そのため、SAAでは次のように整理しておくと分かりやすいでしょう。

用途代表的なサービス
IPv4の外向きインターネット通信NAT Gateway
IPv6の外向き専用インターネット通信Egress-only Internet Gateway

🔥 SAA試験頻出ポイント

  • Internet GatewayはVPCへアタッチする
  • IGWをアタッチしただけではインターネット通信できない
  • インターネット向けルートとして0.0.0.0/0 → IGWを利用する構成がある
  • IPv4でIGW経由の直接通信をするリソースにはパブリックIPv4アドレスまたはElastic IPが必要
  • NAT Gatewayは主に外向き通信で利用する
  • Public NAT GatewayはElastic IPを利用する
  • Public NAT Gatewayからインターネットへ出る場合はIGWも必要
  • NAT Gateway配下のEC2へインターネットから未承諾の接続を開始することはできない
  • 一般的なNAT用途ではNAT InstanceよりNAT Gatewayが推奨される
  • ゾーナルNAT Gatewayの高可用性ではAZ単位の配置を考える
  • IPv6の外向き専用通信ではEgress-only Internet Gatewayも重要

⚠ 初心者が間違えやすいポイント

① IGWを作ればEC2はインターネットへ接続できる

誤りです。

ルートテーブルやパブリックIPアドレス、セキュリティ設定なども必要です。

② NAT GatewayがあればIGWは不要

Public NAT Gatewayを使ってインターネットへ通信する場合は誤りです。

Public NAT Gatewayから最終的にInternet Gatewayを経由してインターネットへ到達します。

③ NAT Gatewayを使えばインターネットからEC2へ接続できる

誤りです。

NAT Gatewayは、背後にあるリソースへインターネット側から未承諾の新規接続を開始させるためのサービスではありません。

④ IGWとNAT Gatewayは同じもの

役割が異なります。

IGWはVPCとインターネットの接続点、NAT GatewayはNATによってアドレス変換を行うサービスです。

⑤ NAT Gatewayは必ず1つだけ配置する

要件によって異なります。

ゾーナルNAT Gatewayで複数AZの耐障害性を高める場合は、AZごとにNAT Gatewayを配置し、同一AZ内のNAT Gatewayを利用する設計が考えられます。

IGWとNAT Gatewayの違いを最終整理

項目IGWNAT Gateway
正式名称Internet GatewayNAT Gateway
目的VPCとインターネットを接続NATによるアドレス変換
主な通信インバウンド / アウトバウンド主に内部から開始するアウトバウンド通信
VPCとの関係VPCへアタッチVPC内で作成
Public NATでElastic IPIGW自体には不要必要
外部から直接接続条件を満たせば可能背後のリソースへの未承諾接続は不可
代表的ルート0.0.0.0/0 → IGW0.0.0.0/0 → NAT Gateway

AWS公式試験ガイドとの関連

IGWとNAT Gatewayは、SAAでネットワーク構成を判断する際の重要な基礎知識です。

特に問題では、

  • インターネットからアクセスさせる必要があるのか
  • 外向き通信だけ必要なのか
  • 直接インターネットへ公開してよいのか
  • 高可用性が必要なのか

といった要件から適切なネットワーク構成を判断します。

単純に「IGW=パブリック、NAT=プライベート」と暗記するのではなく、どこからどこへ通信を開始するのかを考えることが重要です。

まとめ

Internet GatewayとNAT Gatewayは、どちらもインターネット通信に関係するため混同しやすいサービスですが、役割は大きく異なります。

Internet Gateway
VPCとインターネットを接続するためのゲートウェイ

NAT Gateway
NATによってリソースから外部への通信を実現するサービス

特にPublic NAT Gatewayを利用したIPv4インターネット通信では、


EC2
↓
NAT Gateway
↓
Internet Gateway
↓
Internet

という通信経路を理解することが重要です。

また、IGWやNAT Gatewayが存在するだけでは通信経路は完成しません。

ルートテーブルにどのターゲットが設定されているのかまで確認する習慣をつけましょう。

次の記事では、ここまで学習したIGW・NAT Gateway・ルートテーブルを組み合わせて、パブリックサブネットとプライベートサブネットがどのように決まるのかを詳しく解説します。

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